ゲイとお金と女と社会

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遠くにいるジャスティンやルームメイト氏にミサオを捧げて、ニューヨークでゲイ活動を慎むということは無理である。
私だって生身の人間である。
私だってゲイ活動を地道ながらも続けたいという願望がある。

言い訳じみたことを書いたが、早い話が日本人のカケル青年と会ってゲイバーに行った。
カケル青年は非常に若いし、かわいい。

ジャスティンは適度にムキムキで、身長180cm。
カケル青年は細身で背は168cmくらい。

ジャスティンのようにチンチンを見せたり、握らせたり、酔って私の乳房を両手でもんでくるといった暴挙にでは出ない。
ちょっとさみしい気もするが(カケル青年へ、別に揉んで欲しいと言っているわけではないので、ご安心を(笑))、
カケル青年はお酒を飲んでも変わらない。

こんな年増な私と一緒に遊んでくれるなんて拝むくらいありがたい(笑)。
こういう発言自体が、己の年輪を感じる。

ゲイのポルノショップに一緒に行って、ゲイポルノの新作のジャケットを鑑賞したり、
ゲイポルノの雑誌を一緒に立ち読みして「この男の子かわいい」とか「ちょっと血管浮き出過ぎ(どこが?なんて聞かないでね)」とか「これはかなり使っている感じがする」とか全く気を使わずコメントし合えるのが本当に嬉しいし、楽しい。それも日本語で!!
ちなみにコメントの後2つはカケル青年が言ったのではなく、私が言っている。彼の名誉のため。

***

先日、ゲイバーに行く前にチェルシーのレストランで食事をした時、私のケータイが鳴って、カケル青年のケータイも鳴った。

私はジャスティンからで、「チェルシーでご飯を食べている」と言ったら「誰と?」と聞かれ、
「ゲイの友達と」と答えると「あ〜!!!むかつくぅ〜」と思いきっり嫉妬され、とっても嬉しくなった。

「なんで俺だけじゃダメなの?」と一度質問されたが、「遠くにいて一緒にいれないんだもん、仕方がない」
とは思ったものの言わずに、「ジャスティンが一番!」と言ってその場を取り繕ったが、
ジャスティンがいろんな意味で一番なのは本当だ。

それにジャスティンだって、私の他にストレートの女性の友達はいるわけだし、お互い様だ。
でも、日本人女性だったら、激しく嫉妬してしまうだろうが。

ところで、カケル青年に掛かってきた電話の主は、付き合っているような(ボーイフレンドではないらしい)
男性が3人いて、そのうちの1人からだった。
ルームメイト氏も複数と付き合っているし、羨ましい限りだ。
でも、意地を張っていうわけではないが、「やっぱりストレートの男はいらん」と今は思う。

カケル青年はお姉言葉ではない。
ソコが私的には好きである。
ジャスティンもそうだ。
ルームメイト氏は仕事では男言葉らしいが、素で話す時はお姉である。

ニューヨークを離れ東京に帰ってしまった日本人のゲイ友フミオは、彼は日本でゲイとして暮らしたことがなかったので、日本の事情には疎かったが、カケル青年はいろいろ日本のゲイ事情例えば、ハッテン場の話をしてくれて大変勉強になった。
サウナのような場所らしい。

残念ながらハッテン場には女性は行けない。
だから、話を聞いて想像を膨らませるしかない。

そういえばサンフランシスコの超お金持ちのゲイ、スコットは東京は新宿二丁目のハッテン場に行ったことがある。
綺麗で驚いたと言っていた。

そういえば、ジャスティンもベルリンのハッテン場は非常に清潔だったと言っていた。

またまたそういえば、私の最初の性的経験の相手も二丁目のとある場所に行ったとその状況を説明してくれたが、
カケル青年の話で数十年経った今、ソコはハッテン場だったんだと思った。

***

カケル青年は、ニューヨークのゲイバーが大好きだと言う。
それは、知り合いになるゲイが名前も本名を名乗り、堂々と職業を言うからだそうだ。
隠し事がない。
日本ではハッテン場もゲイバーも素性を隠すそうである。
それはクローゼットの中で生きているからであり、ゲイであることがバレるのを恐れているからだそうだ。

しかし、ジャスティンもルームメイト氏もスコットもゲイとして胸を張って堂々と生きていはいるが、
仕事関係ではわざわざ言わないと言っていた。
それはストレート男性に気を使っていると言っていた。
聞かれたら答えるが、ストレートの私たちだってわざわざ「私、男性好きで〜す」とは言わないように
ゲイガイズも「ゲイで〜す」とは公言しない。

しかし、ゲイが集まるゲイバーですら、本名を言わない日本の匿名性とニューヨークの開放および解放された
環境は違うことをカケル青年はひしひしと感じて、ニューヨークに暮らす幸せを噛み締めていると言っていた。

***

ところで、なぜアメリカではゲイが世間的に認められるようになったのか?

それは年を重ねるほど、参加企業数が多くなり、巨大化しているゲイ・プライド・パレードを見れば分かる。
多くの有名企業がパレードに参加して、ゲイ・フレンドリーをアピールしている。
それは博愛平等を示すものではなく、ゲイに経済力があるからだ。
広告活動なのである。
ゲイは学歴もあり高収入の専門職に就いている率が多く、購買力があり、お金を使ってくれるからである。

この世の中は資本主義である。
お金のあることは意見を言えることでもある、権利を主張できることでもある、と思う。

こんな私がニューヨークに暮し、アメリカ人が耳を傾けてくれるのは、我が祖国が日本が経済大国、
死語かもしれないが、富む国であるからだ。
それに女性の立場(発言力)も経済力を得てから向上した。
ドラマSEX AND THE CITYに代表されるように。

日本でゲイガイズがクローゼットの中から飛び出すには、テレビの視聴率ではなく、
経済を揺り動かす層として世間に認められれば変わるに違いないと思った矢先、
カケル青年がおすすめの本ということで貸してくれたのが、まさにゲイと経済力の関係を伝える本であった。

著者は入江 敦彦 氏。
タイトルは『ゲイ・マネーが英国経済を支える!? 』
カケル青年の話によれば入江氏もゲイとのこと。
イギリスの話である。

まだ読みかけなのだが、読了して感想を後日述べたいと思う。
(つづく)


洋泉社の新書。『ゲイ・マネーが英国経済を支える!? 』