地面が唸る!

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日本に帰った日。
白河は雨だった。
過度に神経質になってはいけないと思うが、
この雨には放射能物質がいっぱーーーーーい含まれているんだと思うと、恐ろしさ以上に雨が憎くて憎くて仕方がなかった。


雨・雨・雨!雨が憎い!

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白河から車で40分。

実家に着くやいなや「ゴーーーーーーーッ」という唸りのような音が外から聞こえた。
なんだろうと思っているとガタガタと家が揺れ始めた。
「あっーーーー!地震だ!!ひえ〜〜〜」
避難!避難!避難!と思っているとすぐに揺れは収まった。

私の焦りとは全く対照的で母も父も全く動じていなかった。
一日に数回もこのような小さな余震が来るから、
すっかり「地震」に慣れてしまったらしい。

それにしても私が聞いた「ゴーーーーーーーーーッ」という音は断層が動いている音なのだろうか。
地面が唸り声をあげているようだった。

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東北新幹線は走る!希望を乗せて走る!

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JR成田線は東京駅の地下深いホーム(地下3階)に停車する。
エスカーレーターは地下2階まで止まっていた。
節電のためだ。

東京駅の地下エスカレーターは節電のため止められていた。スーツケースがある旅行者はエレベーターを使用すれば大丈夫!

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全部のエレーベーターが止まっているわけではなくなぜか地下1階のエレベーターは運転されていた。
東京駅も暗い。
しかし、成田空港と違って大勢の人達が行き交っていった。
清潔できちんとしているスーツを着ているサラリーマンにファッショナブルな美しい日本人女性!
いつもの日本人スタイルだ!

安心した。
ダメになっていない!
日本は大丈夫だ!!

ニューヨークと比べると日本人は本当に品質が良くてファッショナブルな格好をしていて日本に帰る度に感嘆する。

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山手線に乗り、大学時代からの朋友Aさんに会いに行く。
彼女から「東京はいつもと変わらないよ」と聞いていたが、本当に何も変わっていなかった。
「がんばろう!日本!」という横断幕や看板がたくさんあるのだろうと思っていたが何もなくいつもの東京だった。
東京は東北のことなんて何も気にしていないのね〜と悲しくなってしまった。

またAさんから「地震予報で一斉にケータイが鳴る時があってその時は怖いよ〜」とも聞いていたので、
地震が来たらどうしよう〜とドキドキしながら山手線に乗ったが、ケータイは一斉に鳴ることもなく、
いつものサラリーマンがいっぱい昼間の山手線の平和的な光景だった。

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Aさんが山手線の某駅改札で待っていてくれた。
スカイプでよく話をしているが顔を見ると涙が出そうになり堪えるのが大変だった。
ランチをしながら311の話を聞く。
私が想像した以上に激しく長時間の地震だった。
彼女はドトール・コーヒーにいたという。
パニックになる女性客がいたが、Aさんはコーヒーを飲みながら揺れが収まるのを待っていたという。
さすがだ。

話題はやはり原発や風評被害ことになりお互い涙ぐむ。
福島の桃や梨はもう食べられるのだろうか(涙)??

いつも揺れているような感じがするとAさんは地震酔いに悩まされているとのことだった。
それくらい余震が多いのだという。

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Aさんから「実家の方は大変だろうけどがんばって」と励まされ、再び東京駅に。
どうやって実家のある福島に帰ろうと思っていたが、さすがJR!さすが新幹線!
その時は福島まで開通していた!!

発車時刻を知らせる電光掲示板。今回程、貴重でありがたいと思ったことはない。

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東北新幹線を見て感情的になりまた涙がつつーーーと。
東北復興の光、東北新幹線!
光より早く、そして人々の希望の光の新幹線!!!
乗客の大半はサラリーマンだった。

東北新幹線は震災に負けない!すごいぞ!JR!! 脱線もしなかった!!

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新白河の駅に到着する。
「がんばろう 東北」の横断幕が!!!
大震災は悪夢ではなく実際にあったんだと実感した。
涙が出る。


がんばろう 東北!

感傷的になってはいけない!
泣いている場合ではない。
放射能は怖い!とても怖い!でも、「がんばっぺ!東北!負けない!福島!」

しかし、白河は雨が降っていた。
雨は空気中の放射線物質を取り込んでしまうらしい。
故郷には帰ってきたが、目に見えないエナミーに震える菊楽恵だった。

誰もいない真っ暗な成田空港で号泣。うううううう・・・

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航空会社から出発便の変更のメールが来た。
多分、日本行きの乗客が少ないので、ひとつの飛行機にまとめたのではないかと推測した。

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だからなのか、エコノミー(メイン・キャビネットと言われている。主要客室(笑))はほぼ満席だった。
しかし、ビジネス・クラスはがら空きだった。
エコノミーの乗客は、ニューヨークに観光に来たのだろうと思われる日本人だった。
大震災!放射能漏れ!自粛!と報道されているが、実際こんなにたくさんの人がニューヨークに観光に来れるのだから
日本は大丈夫!と思った。

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成田空港に着く。
第二ターミナル。

入管そして税関でチェックを受ける。
税関では日本のパスポートなのにもかかわらず「観光で来たんですか?」と変な質問されて、
「いいえ、里帰りです」と答えた。

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税関チェックの後、扉を出た。
そこは到着ロビーである。
出迎えの人がたくさんいる、いつもなら。
しかし、誰もいない。

しかも暗い。
飛行機は午前11時に到着した。
夜ではない。
昼間なのに暗い。
節電していると話に聞いていたから、節電しているから暗いのだと思った。

そして、たくさんの人でごった返ししている所だ。
いつもなら・・・。

「そのファッション、どうしたらそうなっちゃうんですか?」の人民のツアー客も
「そんな巨大なバッパックどこで売っているんですか?」を背負っている白人旅行者も
だーーーーーれもいなかった。

空港で働いている人しかいなかった・・・と言っても過言ではなかった。

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真っ暗で、人がいない世界への玄関、成田空港・・・。
私は、別の国に来てしまったのだろうか。
いや、違う。
ここは日本である。
我が祖国。

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日本がダメになってしまった・・・。

カートを押しながら、涙が後から後から後から出て来た。
「ううううううううううう・・・」

我が祖国が・・・。
辛い。
悲しい。
現状を目の当たりにして、私の胸は激しく痛み、その場に倒れそうになった。

どんなに悲しくても普通、公共の場で泣くのはやはり人目が気になるものである。
しかし、他人など気にする必要はなかった。
人がいないのだから・・・。


真っ暗で外国人がいない成田空港第二ターミナル到着ロビー・・・。電光掲示板も消えている。

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成田エスクプレスは走っていなかった(泣)。

快速電車で東京駅に向かう。


人がいない、暗い成田空港にあるJRと京成の切符売り場。

ワシントンDCの子供達が描くSAKURA✿✿✿✿

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フクシマ・ダイイチから放射線物質が漏れて世界中を駆け巡り、ニューヨークの雨にも検出され、
しかも汚染された水を大量に海に捨てる!という犯罪行為を行い、さらに避難区域は広がり、
原発周辺地域は10年も20年も帰れない状況になるかもしれないという首相の発言も出て、
レベル7という非常に危険な状況になったというニュースを読み、辛くて悲しくて泣いてしまった。

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放射線物質から身を守らなければいけない。
40歳以上には安定ヨウ素剤の配布はないという。
新陳代謝が悪い40歳以上は放射性ヨウ素を浴びても甲状腺ガンにはならないからだそうだ。
私は40歳以上だ。
だから、大丈夫らしい。
しかし、新陳代謝の活発な子供達はどんどん悪いものを取り入れてしまうから、
5年から10年後、甲状腺ガンや白血病を発生する可能性があるのだ。
これからを生きる子供達が病に倒れるのを見たくない。

私は我が子はいなし、母でもないし、おむつも取り替えたことすらないが、
子供達のことを想う。
どうにかしなければ!!

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アメリカは移民の国である。

自国で虐殺や人種差別で苦しむ避難民や政治的な理由で虐げられている政治的亡命も受け入れている。
私の家族の知人に、和歌山県を襲った伊勢湾台風で全てを失い、当時アメリカに移民して、
カリフォルニアで成功した人がいる。

そんなアメリカが、フクシマの子供達を受け入れてはくれないのだろうか?

✿✿✿

ワシントンDCのユニオン駅に子供達が描いた「サクラの絵」が展示されていた。
通り一遍の表現だが、元気いっぱいで、大胆で大人には描けない!
また日本の子供達とは違う色使いが面白い!

アメリカの子供達はのびのびと「サクラ」を描けるのに、
「サクラ」の本家本元である日本の被災地の子供達は描くことはできないんだなぁと思うと、
泣けてしまった。

✿✿✿

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ヨーロッパ進出!? 配給決まる!

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イタリアの映画会社がMiLILEUをケータイ、インターネット、オンデマンドTVでヨーロッパで配給することが決まった!!!

MiLILEUとは私が脚本&プロデューサーをした短編ヤクザ映画である。

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母国日本は千年に一度といわれる災害に見舞われ、我が故郷も父も母も放射能物質が飛来という非常に大変な状況にあり、
かつ私も異国ニューヨークで楽して暮らしているようだが、実は仕事が大変なので経済的に非常に大変で
まさにその日暮らしなわけでで、この事によって、
ドカーンと売れて監督以外の私に配当金が来るということはまずないとは思いつつ、
それでもヨーロッパの方々に観てもらえるチャンスをもらえたのが嬉しいと感激している次第である。

自分が考えた台詞が役者さんを通して生きているものになる!
これは代え難い喜びである!!!

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今回の大震災で亡くなれた方々を思うと胸が痛く、こんな使いものにならない私がなぜ生きているのだろうと
この世の不条理を感じて落ち込む。

生きるということについて、ある時は理由を強く感じる時もあるし、ある時は理由は全くないんじゃないかと思い
せつなくなる時もある。
でも人をエンターテインする仕事ができるというのは幸せだと思う。
大勢の人に観てもらいたいのが本音だが少数の人にでも楽しかったと思っていただけたらそれが喜びである。

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短編フィルム・ノアール!!!MiLiUEが5月からヨーロッパ配給決定!

菊楽恵が脚本&プロデュースを担当!

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