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カールくん達はメルローズあたりの居酒屋ビストロ(そんなのがあるらしい)で友人15人ぐらい参加でディナーを兼ねての宴会をしている。
渋滞だったので、時間には間に合わなし、お腹も空いたので私達だけで簡単にメキシコ料理で夕飯を済ます。
行きはルームメイト氏の運転で、お酒を飲んだら、ジャスティンが運転するということになり、
私が助手席に、ジャスティンとカーク・カップルは後部座席に座る。
ルームメイト氏は別れて悲しいとひっきりなしに言っている。
「ゲイメンだとデート、デート、デートで、セックスして終わりだし、それに家族も作れないし、
未来は全くないし、デートしてセックスしての繰り返しで疲れるわ〜。いっそのことクリスチャンのカリキュラムで
ストレートになるのに入ろうかな」とまで言っている。
ジャスティンが「本当に考えているの?」と聞く。
「クリスチャンのカリキュラムはね〜、ペニスの写真を見せて電気ショックで痛みを与えて、ヴァジャイナ(女性器)の写真を見せた後でマッサージなど気持ちいいことをするらしいのよん。ペニスを見ると痛いから反応しないようにするのが目的らしいぃ〜。それを何度も何度も繰り返してゲイをストレートに変える試みをするらしいのよ」とルームメイト氏。
本気で考えてそうで怖い。
ジャスティンは「そんなことでゲイであることが変わるわけがない!!」と言う。
友達の友達のお父さんの話で、父親も息子もゲイの親子で、父親は家族のためにゲイからストレートに変換する!?クリスチャンのカリキュラムに真剣に参加したが、ゲイからストレートにはなれず、ゲイのままでカリキュラムをスタートする前と全く変わらなかったという話を私はした。
「じゃ、私が性転換して男になったらどう?」といつもこのブログで書いている事を言ってみる。
「アジア人の男は好きじゃない・・・」とあっさり却下。
それでも負けずに「巨大な人工ペニスを作るけど、どう?」と再度、提案してみる(笑)。
「あまり大きいのは好きじゃない」とこれまた却下。
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「あのー、ルームメイト氏。元奥さんとセックスしていたんでしょう?」
「うん、していたよ」
「ブロークバックマウンテンでは奥さんとセックスするのは、必ずバックでしていたし、
それを映画で観た旦那さんが後でゲイだって分かった女性もいつもセックスはバックだったらしく、
ルームメイト氏もやっぱり奥さんとはバックでしていたの?」といつも疑問に思っていたことを聞いてみる。
ジャスティンの無口なボーイフレンドが発言。
「顔もそうだけど、胸とか見たくないから、バックっていのうのは納得だなぁ〜」
「う〜ん、確かにバックでしていた。それにクローゼットのドアに大きな鏡があって、
その時は体を鍛えていたから、セックスしている自分の体を見ながら、セックスしていたのよね〜」
とルームメイト氏。
女である妻を見ず、男である自分の体を見ながら、セックスをする。
元奥さん、きっと気が付いていたはずだが、愛は盲目である、気付かないように努力していたのかもしれない。
元妻・・・かわいそうと思うのは私だけだろうか。
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カールくんからは「どこにいるの?」「早くおいでよ」「みんな待っているよ」とたくさんのテキストが続々と
ケータイに送られた。
そうこうしているうちに、メルローズに着く。
ルームメイト氏と手をつないでお店に入る。
この手をつなぐ・・・という行為がこんなに幸せだとは・・・!
カールくんの友達総勢約15人ぐらいいたが、95%アジア系の男性だった。
残念ながらルームメイト氏の心を癒してくれる男性はこの宴会にはいなかった・・・。
カールくんの隣にはヒスパニック系の女性がいて腕を組んでいた。
つかさずチェックを入れる私。
これがニューヨークだったら、「アンタ誰よ」と言うところだが(もちろん冗談で)、
私にはジャスティンとルームメイト氏がいるので心には大きな余裕ができている(笑)。
カールくんにジャスティンを紹介し、ジャスティンのボーイフレンドも紹介する。
カールくんはご機嫌だが、私たちが簡単に食べてきたことを話すと
「どうして食べて来たの!」とちょっと怒りを表す。
ヨーハンは私に耳打ちする。
「気にしないで!無視、無視」。
カールくんにジャスティンとはイースト・ビレッジのEastern Blockで知り合ったと言うと、
「あそこ大嫌い。臭いしいぃ〜。嫌々行った後はシャワーを1時間位浴びないと臭いが取れないし、
勘弁して欲しいわ」とあからさまに攻撃モード。
大抵のゲイメンは毒舌だ。
もちろん毒舌じゃない口べたなゲイもいるが。
この毒舌の能力はどこから来るのだろう?
脳のどの部分が活発になって、どのケミカルが出て毒舌になるのか?
「おすぎとピーコ」が同居している。
しかし、ヨーハンは「ボクはイースト・ビレッジのゲイバーは大好きだけどね。
カールはお高くとまっているから気にしないで」とジャスティンにフォローを入れる。
カールくん達は既にデザートになっていたので、私たちはドリンクもオーダーせず、
ウエスト・ハリウッドのゲイバーに行くことにした。
カールくんたちはウエスト・ハリウッドのAbbeyに行くと言っていたので、
Abbeyで待っていると言おうと思ったが、ジャスティンは別のところがいいと主張。
でも、私は「カールが行くから、行こうよ」と言うと、
ジャスティンは「奴らにコントロールされているな。良くないよ!」と私にきっぱり言う。
おおお〜〜!
ジャスティンの意見に従い、最近、新装開店したというゲイバーに行く。
今度はジャスティンにコントロールされている私。
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カールくんとはテキストで連絡を取り合い、新装開店のゲイバーで飲みながら待っていると
しばらくしてカールくん達ご一行さまが登場。
カールくんはかなりお酒が入っているようだ。
既にゲイバー数軒はしごして来たらしい。
カールくんは私に会うなり、私の両胸(両乳)をがばって鷲掴みして、激しくもみもみ〜。
「きゃぁ〜、痛いぃ〜、止めて〜」
と叫ぶと、ニューヨークでは誰も助けてはくれないが、
ここはLAである、ルームメイト氏が私とカールくんの間に入って
「止めなさいよぉ〜。メグミは私のものよ〜」と声を張り上げる(ただし、かなり英語の女言葉)。
この言葉「止めなさいよぉ〜。メグミは私のものよ〜」・・・待ってました!
きゃぁ〜〜〜、いやぁ〜〜〜ん♥♥♥
カールくんは「いや、違う。ボクのものだ!!」
とルームメイト氏とカールくんが睨み合う。
そしてルームメイト氏が「腕相撲で勝負よ」
とTシャツをまくり上げ、ガッツポーズをして二の腕の筋肉を
盛り上がらせてカールくんの目の前でこれみよがしに見せつける。
腕相撲って、えええ〜?
意外の展開に絶句しつつ、笑い転げてしまった。
腕相撲で決闘!?
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ルームメイト氏は二の腕の筋肉が自慢なのである。
カールくんも負けずに「アタシの方の筋肉の方がスゴいわよ!」と、
シャツをまくり上げ、同じくガッツポーズをして二の腕の筋肉を
盛り上がらせてルームメイト氏の目の前でこれみよがしに見せつける。
私を巡って「ウエスト・ハリウッドでの決闘」というよりは、ゲイメンのプライドを掛けた、
ゲイメン同士の筋肉自慢大会になっていった・・・。
まだまだ続くウエスト・ハリウッドの夜・・・。