講談社パブリからDeeeeep!New York!のケータイ版が発売されました!
発売日:12月14日(金曜日)3部構成で1部300円!
女の子が楽しめるセクシャルなニューヨークのエンタテイメントを紹介するコラムが今度はケータイで登場!!
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人は確信が持てない時に、他のものに頼ったりする。
受験の時の滑り止めのようなものだ。
本命があるのだが、本命に行けるかどうかが不安。
本命に行けなかった時の安心だ。
実は、私は滑り止めともいえる安心を探した。
ゲイはロサンゼルスだけでなくニューヨークにもいる。
ルームメイト氏以上のゲイに出会えて我が子の素敵な父親になってくれるかもしれない。
できれば、子供をマンハッタンの私立の一流の学校に入れてくれるような二人とも高収入のゲイ・カップルなんかは
どうだろうと夢を描いた。
そう思うと、不思議なことにそういう方向に動く。
インターネットの掲示板でゲイカップルが父親になりたいので、レズビアンカップルを求むというのを見つけたのだ。
私は、「早速、レズビアンではありません。ストレートのシングルですが、ゲイとの間に子供が欲しいと考えています」と
送ってみた。
翌日、返事が来て、「レズビアンである必要はありません。ストレートの女性でもOKです」と書かれてあった。
そして彼自身のことが紹介されてあった。
アイリッシュ系とイタリアン系がミックスの白人。
今年36歳。7年の付き合っているパートナーがいる。
4年間結婚していたが(ゲイであることを隠していたのだろう)、離婚。
生まれも育ちもニューヨークでファイナンシャル系の仕事をしている等々。
かなり好条件だと思った。
「私の夢は二人の父親と母親である私と子供の4人で一緒に暮らしたいと思っている。出産後、1年間は働けないので、その分、生活のサポートをして欲しい」と私の夢を書き、はっきりした希望を書いた。
***
私は、ニューヨークのゲイカップルとコンタクトを取っていることをジャスティンに伝えた。
ジャスティンはだまっていなかった。
そうルームメイト氏に言ったのだ。
ルームメイト氏から電話がかかってきた。
「他にもコンタクト取っているらしいわね」
「ジャスティンが言ったのね。東海岸のゲイの状況はどうなのかのリサーチで・・・」と苦しい言い訳をした。
「オプションってことね。ま、いいけど」と不機嫌そうな口調だった。
「う〜ん。でも、あのね、とにかく不安なの」
「本当に子供が欲しいの? 欲しいなら一緒に暮らそうってずっと言ってるじゃない」
「いわゆるストレートのカップルじゃないから、私のこともサポートしてくれるかどうかも気になるし・・・。
出産して子育てしたら働けないし・・・」
「そういうこと!? 働かなくていいじゃない。私が面倒みるわよ」
「えっ」
「ニューヨークにいる人みたいに大金は稼いではいないけど、それくらい大丈夫よ」
「サポートしてくれるの?」
「当たり前じゃない」
「子供ができたら、20年間は責任があるのよ。それでもいいの?」と私。
「20年どころじゃないわよね。一生よね〜。」
その通りだとルームメイト氏の言葉で子供への責任を感じさせられた。
「子育てをしたいのよ。スパーム(精子)の提供だけじゃイヤなのよ。」
「男の人と結婚したくないの?」
「そりゃ、したいけど、ゲイは移ろいやすいから、分からないわ〜。女性を信用してる。アナタをね。
心配しなくていいのよ。メグミは子育てしながら、家にいて好きなことしてればいいわよ」
こんなに男らしい言葉を言われたことがなかった。
ただし、英語のお姉言葉だが。
今まで付き合ったストレートの男は子供に関して及び腰だったし、俺に任せろ的な言葉も言われたことがなかった。
働かなくていいだなんて!
男らしいと思った。
***
件のニューヨークのゲイカップルのメールが来た。
「パートナーと一緒に住んでいるところに女性を住まわせたくない。
経済的にひとりで育てることは可能ではないのか?
子供ができた後、デイケアに預けて働くことは考えていないのか?
レズビアン・カップルならば、出産後、一方が働いていて経済的にも安定している。
父親にはなりたいし、子供の成長にかかわりたいが、一緒に育てるということは考えられない」
そうニューヨークのゲイ・カップルは精子を提供したいが、一緒には苦労したくはないのだ。
良い所取りで済ませたいのだ。
「ヘイ!レズビアン!精子欲しいんだったらやってあげてもいいぜ!その代わり、時々会わせろよ!でも金は出さないぜ」
そう言っているように見える。
彼らの態度は不快そのものだ。
滑り止めを作ろうと思った自分の卑劣さを恥じた。
ルームメイト氏のやさしさを感じて涙した。
ルームメイト氏のようなゲイには出会えないのかもしれない。