心臓がつかまれて止まってしまう衝撃的な悲しいニュースが流れた。
FUKUSHIMA出身の女優、芦名星さん、我が母の時代ではロカビリーハンサム歌手藤木孝さん、そして竹内結子さんが亡くなった。
『リング』が公開されてすぐに日比谷の映画館で観た。
怖さのあまり椅子からずり落ちた。
映画の冒頭で登場する女子高生が強烈なインパクトだった。
『リング』のあの女子高生役の女優さんは瞬く間にスターの階段を登って行った。
最近は『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』を観た。
チェロを弾く姿やトレンチコートを颯爽と着ている姿が格好良かった。スタイリッシュな映像で日本のドラマが世界レベルになった作品だと思う。
竹内結子さんのささやきかけるような話し方や声が好きである。
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結子さんは産後うつではないかと言われている記事を読んだ。竹内結子さんが産後うつだったのかどうかは分からないが、産後うつと言えば、2005年、女優のブルック・シルーズが不妊治療で授かった待望の娘の出産後、産後うつで苦しみ抗うつ剤を服用し回復した経験を出版した。トム・クルーズが抗うつ剤を服用したことに対して批判したことを思い出した。
当時、様々なメディアが取り上げて超話題になった。
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産後うつは英語でpostpartum depression(ポストパータム・ディプレッション)。
PPDと略される。
ブルック・シルーズが出版した本のタイトルは
“Down Came the Rain: My Journey Through Postpartum Depression.”
『降ってきた雨:私の産後うつの旅路』(勝手に超訳した)
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「僕は精神医学の歴史を知っている。脳の化学物質の不均衡なんてないんだよ。体を動かしてビタミンを摂取すればいいんだよ」と批判したトム・クルーズ。
トム・クルーズが信仰しているサントロジーは、精神医学やセラピーといったものはすべてエセ科学であり、抗うつ剤の服用を否定している。
ブルック・シルーズはニューヨークタイムズで皮肉たっぷりに反論した。
「トムさんは悪者から世界を救うことだけに専念していればいい。産後うつを患っている女性にとって最高の治療は何かは女性が決めればいい。私の適当な推測で申し訳ないけどクルーズ氏は産後うつで苦しんだことはないんじゃないないかな。母親に対する暴言だ。トム・クルーズのひどい発言から良いことがあるとすれば、この深刻な病気についてずっと注目されますようにと願っていたことが叶うかもということだ」。
ブルック・シールズは初めての子供を出産後、消えたいと思ったり、薬を全部飲んでしまいたいと思ったり、窓から飛び降りようと考えたり、車を運転していて突然激突したい衝動にかられたり、死ぬことを考えていたという。
しかし、抗うつ剤の服用で助かった。
子供の頃からスターで美人でプリンストン大学出身で学歴も素晴らしく、高額の不妊治療にお金も費やせて経済的にも恵まれているブルック・シールズでも不幸のどん底に陥れるホルモンの不均衡がまねく産後うつは自分ではコントロールできない病気なのだ。
後日、とんでも発言をしたトム・クルーズはブルック・シールズに謝罪をしたそうだ。
そして彼女以外にも産後うつで苦しんだ経験をハリウッドスターが告白している。
リース・ウィザースプーンは3人の子供を産んでいるが、2人目の時に酷い産後うつで苦しみ、抗うつ剤を服用した。
バリュー・ドリモアも2人目の子供を産んだ時に経験し6ヶ月続いた。
コートニー・コックスも。
ダイアナ妃も。
半年で終わると言われているが、アラニス・モリセットは14ヶ月も続いた。
グウィネス・パルトロウは2人目の子供を出産後、ゾンビになったみたいだったと語っている。初めての子供とは違う気持ちでなんてひどい母親だと自分を責めた。セラピーを受けて回復した。
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コロンビア大学やニューヨーク大学にはREPRODUCTIVE PSYCHIATRY(生殖精神医学)のプログラムがある。
REPRODUCTIVEとは「繁殖の、生殖の、多産の」という意味で、女性が卵子を作る期間(初潮が始まり更年期)に、女性ホルモンの影響を受けて発症するメンタルヘルスに関わる病気について取り組む医学だ。
妊娠前、妊娠、出産、出産後、若くして親になる、不妊、流産など様々な生殖に関わる状況において、心の不調やストレス、メンタルヘルス関連の病気を診療・治療する。
アメリカ合衆国保健福祉省の女性健康局(The US Department of Health and Human Services)によると女性の75%が生理の前に体と心の不調を訴え、出産した人の15%が産後うつになるという。決して珍しいことではない。
拙ブログで何度も書いているが、私もREPRODUCTIVE PSYCHIATRIST(生殖精神科医)の診察を受けている。セラピーも受けるように言われているので、セラピストとも定期的に話している。
一般人の私でもきちんと治療してくれる。それも手厚く。
セラピストに聞いてみるとうつを患っている本人はうつであることに気がつかないと言う。私も思い当たる。実際、うつは気分が落ち込むことだと思っていたが、体が実に不調になる。
胃が痛い、心臓が痛いなどで内科医を訪れる。どこも悪くない。そこで優秀な内科医は、患者をそのまま帰したりしない。うつである可能性を考えて、精神科医とセラピストを紹介するのだという。患者からの聞き取りが上手いらしい。私の場合は、若い女性の婦人科医が分かってくれた。
起き上がれない時が月に数日あって、お風呂には入りたくない、人には会いたくない、天井ばかり見ては死にたいと思っていたのは、うつ状態だったからというのが判明して、本当に楽になった。その期間中は見るものが全て色がなかった。
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私は妊娠できなかったので出産の経験もないが、子宮内膜症で激しく変化する女性ホルモンに翻弄されて体も心も辛い日々を送った。女に生まれて来たのは何かの罰なのか、と思ったこともある。
ホルモン不均衡が働くこと、勉強すること、妊娠、育児、女性のあらゆる活動を阻止している。女性に活躍を望むなら女性の心と体の健康問題にまず取り組むべきだと思う。微力だけど、どうしたらいいのか考える。
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今日も明日もご無事で!健康で!!