ニューヨーク・ホームレス事情 値上がり。

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『Deeeeep!New York! 〜林檎の芯〜』

菊楽 恵著
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ニューヨークを初めて訪れた時、男が小銭に入った紙コップをジャラジャラ振りながら、お金を求めてきたのに驚いた。
さすがアメリカはホームレスも積極的なのだと思った。

“Could you spare change?” 「小銭を恵んでください」とストリート、地下鉄の車内などで
ホームレスは人々に声を掛けて小銭をもらっているのだが、最近、彼らが言っていることに変化があることに気が付いた。

“Could you spare a doller?” 「1ドルを恵んでください」と言っているのだ。
1ドルは小銭ではない。紙幣。紙コップを持っていないホームレスもいる。

物価は上昇している。それに伴って、彼らが求める金額も値上がりしたということだろう。

実は、私はホームレスに声を掛けられても首を振り、「あげません」というNOという意志を示して、
お金はあげない。

理由がある。

かつて、“Could you spare change?” 「小銭を恵んでください」
とホームレスに声を掛けられて、ダイムを2枚(20セント)をあげたことがあった。
お金がそれしかなかったのだ。

しかし、ホームレスは「クウォーター(25セント)じゃなきゃいらない」と私があげた20セントを突っ返して来たのだ。
可哀想だと思ったことが無駄だったような、私の慈悲の気持ちは偽物だったのだろうか?
などと考えさせられた。
それ以来、私はお金をあげるのを止めた。


都会はお金がかかる。都会の狭間で人々は葛藤しているのだ。