母であり父であり。トランスマン、親になる。

レジの列が非常に長い近所のスーパーマーケット。
列も一列だけではなく数列ある。
隣の列に、年の頃は8歳と5歳と思われる女の子の姉妹と母親らしき大人の計3人がいた。

「おかあさん、おなかすいたよ〜」とアクセントのない流暢な日本語で姉の方が母親に言った。
妹も「わたしもすいた〜」と母親に日本語で言った。
「もう少しだから我慢してね〜」と母親も日本語でなだめていた。
父親の姿はなかったが明らかに白人男性だと思われる。なぜなら姉妹はハーフ(ミックス)だから。姉妹の顔立ちは美しく、ニコニコしていてかわいい。

その様子を見て、私のことを「お母さん」って呼んでくれる存在がいたらなぁ〜とふと思った。

子宮内膜症で今日も苦しい。
それに母になる努力もしなかった。
いないものはいない。
今後もあり得ない。
諦めはついている。

そんな時、GAY友カールくんが 9月12・19日号の”TIME”誌をくれた。

その中に、母になることを諦めず、努力した人の記事が載っていた。

トランスマン(女性から男性)が妊娠し、出産したのだという。

トランスマンの名前はエヴァンさん。35歳。女性のパートーナーがいる。マサチューセッツ州ボストン在住。彼のお姉さんジェシーさんが記事を書いている。

“TIME”誌の記事はオンラインでも読める。

記事のタイトルは、
“My Brother’s Pregnancy and the Making of a New American Family”
『私の弟の妊娠と新しいアメリカの一家族の誕生』。(超訳でアシカラズ)

こちら〜

baby2016

生まれた時の性別は女。
心は男子。
男にもなりたいが、母にもなりたいという相反するような願いだが、エヴァンさんは十数年の歳月を掛けて、二つの夢を叶えた。

20代、テストステロンを摂取して男になった。乳房と子宮卵巣の切除手術はしてない。将来母になろうと思っていたから。

30代、流産を乗り越えて、2回目の妊娠で無事に出産!
パートナーが女性なので提供の精子を使用。精子バンクからなのか知人からなのかは記事では言及されていなかった。

男性の外見になるためと維持のために男性ホルモンであるテストステロンが必要。しかし、受精&妊娠と胎内で健康な赤ちゃんを育てるためには不必要なホルモンになる。だから、妊活中及び妊娠中はテストステロンは体内には入れられない。
だから、トランスマンの妊男(ニンオ)は、男になったのにまた女に戻ってしまうという体の変化に伴う恐怖やホルモンの変化で落ち込んで苦しむ人が多いらしい。エヴァンさんは幸いなことに落ち込みや悩むことはなかったという。妊娠・出産を経験した他のトランスマンの自助グループにも助けられたという。

妊娠はしたことはないが、ホルモン治療を現在もしている身としては、大海原の小舟のように激しくホルモンには翻弄されるので大変辛いのが分かる。

仕事関係、家族、友人、パートナーなど周囲の理解とサポートは必須だ。それと受け入れる医療施設も必要だ。トランスマンが妊娠して安心して出産できるという医療環境がボストンは整っているらしい。

それに、何よりも現実問題としてお金が必要だ。

出産までの過程で医療費など、日本円で合計1,200万円以上という費用が掛かったそうだ。
体外受精(IVF)の場合はもっと掛かるとのこと。
WOW!高額だ!

トランスマンの誰もが母にはなれない。費用を考えると断念してしまう人もいるだろう。その前にトランスマンになろうと思っても男性ホルモン・テストステロンが保険でカバーされる場合もあるが、自費の場合はお金が掛かる。ストレートの女性も同じだ。不妊で体外受精(IVF)をしたくても高額で諦めるかもしれない。しかし、お金を掛けて試みても授からない場合もある。

エヴァンさんは仕事を続け、男になっても母になる夢を諦めず母になった。

男性ホルモン・テストステロンの摂取を止めると、排卵が始まるらしい。
エヴァンさんはしばらく母乳で我が子を育ててから、テストステロン摂取を再開するという。テストステロン摂取をすると母乳が出なくるなるのだろう。

基本的に彼の体はとても健康なのと思う。
羨ましい!!!!

baby2016

ところで、雑誌のページをめくり、ヒゲもじゃの顔と毛が生えているおっぱいで母乳を与えている写真にはびっくりした!!!

しかし、OKだとすぐに思った。

お母さんはつるつるで毛がない!
というのが今までの固定されたイメージだが、そうじゃない母もいるということを受け入れて認める!

そうすると、ヒゲも胸毛もある男ママがいることは全然変なことではなくなる。
偏見も差別も受け入れる側の問題。

筆者のお姉さんはエヴァンさんの妊娠中、トランスジェンダーに対する差別意識からくる暴力の対象になったらどうしようと不安だったらしい。
何事もなく無事に助産師のもとで出産。

父親が50歳の時にGAYであることをカミングアウトした時から彼らの両親は離婚しているという。3人きょうだいでエヴァンさんは末っ子。
長女の筆者と次女はレズビアン。家族のセクシャリティーもさまざま。

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TIME September 12-19, 2016から。息子さんに授乳しているエヴァンさん!

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ヒゲ&胸毛もじゃもじゃの男ママが存在する現代アメリカ。

世界に存在するセクシャリティーはストレートの男とストレートの女だけではない!トランスマンの母もいる。医学が発展した現代は医学の力で本来のジェンダーになれるし、生物学的な性で子孫も残せる。

トランスマンが妊娠・出産して母になった実際の人数はまだ把握されていないそうだが、LGBTの専門病院、Fenway Instituteでは約2千人のトランスメンが診察に来ており、母になっているトランスマンは多いはずだと言っている。

トランスマンの妊娠・出産はエヴァンさんが初めてではない。拙ブログにも紹介している。2008年4月6日の記事。

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女の子の赤ちゃんが授かったトーマスさん!

トランスマン ・ママがこれからも増えるであろうと推測されている。

男になったから母にならない、母になれないということはなく、生物的には女で生まれたのだから、母になりたいという生物の本能がある!!
共感できるし、理解できる。
病気でかつ生殖能力のない私でもふとよぎる時はあるのだから。

実現できる人は限られた人達かもしれない。
しかし、夢は叶えられるという「夢」が持てる!!

妊娠・出産はゴールではなく、子供は育っていく。
しつけ、教育、パートナーさんとの子育ての役割や分担など、エヴァンさんの子育て奮闘記を読みたいものである!
今後、出版なり記事なりブログなりレポートして欲しい!

baby2016

後日談:トランスマンの妊娠・出産の記事が載っているから私に“TIME”誌をくれたのだと思っていたら、カールくんはそういう記事があったことも知らずに(もちろん読んでもいない)、リサイクルに出すなら私にあげようと思ってくれただけ〜というのが判明!www

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セックスは両脚の間(性器)に、セクシュアリティーは両耳の間(大脳)にある。
by マリー・カルデローン医学博士。

母であり父であり。トランスマン、親になる。」への2件のフィードバック

  1. メグミさま☆

    おはこんばんちはあ。

    なんだか不思議な気持ちになりますね…

    生命の神秘というか。男性になりたい、でもママになりたい。授乳している姿、素敵なお写真ですね。

    わかるような気がします

    男性になりたくても、一度は我が子を抱きたいという気持ち

    メグミさん、体調があまり良くないんですね…お大事になさってくださいね。
    痛みは身体だけではなく、心にもきませんか…

    しかし、体外受精のあまりの高額さに唖然としました。確かにお金持ちじゃあないと、挑戦できないという、第一関門があるんだ…

    普通に性交をして、妊娠する確率は宝くじに当たるよりも凄い確率だと以前何かで読みました

    不思議な縁で母の元に生まれ、苦労の多い中を育ててくれた恩返しをこれからしていく年齢になり、本当の意味での親孝行を考えるようになりました。

    育児と違い、ゴールの見えない介護という道のり。

    できる範囲内でしか無理だけど、母が幸せだと思えることをしてあげたいと思います。

    少々物忘れもし、悩まされることも出てきた母ですが、できの悪い私をこの間「○○ちゃんは宝、て毎日思ってるよ」と言ってくれました。何かを忘れても、いつもいつも私の幸せを願っている母。

    やっぱり母にはかなわないです。

    カールさんのさりげない優しさにも感動。メグミさんの周りには愛がいっぱいですね

    明日も1日、いい日でありますように

    それではまた…

    • 梅梅さま

      おはこんばんちは〜!!

      夏が戻ってきたような暑いニューヨークです!
      そちら関西はいかがですか???

      エヴァンさんの授乳している姿、素敵ですよね〜!
      梅梅さんも同じことを思ってくれて大変嬉しいです。

      ところで、育児と介護を比較されてネガティヴなことを言われたことがあって激しく傷ついたことがあります。涙
      親の介護関連で身も心も疲弊していた時です。
      「育児してなくて悪かったな〜。育児の方が偉いのかよ〜」と逆ギレしそうになりましたが、前頭葉の理性をフル回転して笑顔で対応しました。

      梅梅さん、ご心配ですね。

      お母様、娘の梅梅さんのことを愛しているのが伝わってきます。
      「梅梅ちゃんは宝、て毎日思ってるよ」というお母様の言葉で涙が出ました。

      100歳のおばあさんが80歳の娘に「ちゃんとごはん食べているか?」と心配するという話を聞き、親はおばあさんになっている娘でも気に掛けるんだと思いました。

      梅梅ちゃん、体に気をつけて。
      介護も精神力&体力勝負
      いつもコメントありがとうございます!

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