ダブルキスの意味。アーサー・ミラーの『橋からの眺め』。

ブロードウェイのミュージカルやお芝居のチケットは庶民にとって高額だ。

しかし、激安で観劇できる方法がある。

ショーによって当日の開演前に劇場前にてLOTTERY・ロッテリー(抽選)が行われ、激安チケットを手に入れることができるのだ。

席は端なので全体は観えなかったりするが、最前列か2列目の席で35ドルぐらいで観られるのであ〜る。
ショーによって異なるが大抵20枚ぐらいは用意されている。

〜 LOTTERYの応募方法 〜

開演時間の2時間半前から30分間受け付けているので、とにかく劇場に行く。
2時間半前に行くのが一番大変なところで、そこをクリアすれば、あとはいたって簡単!

担当者がいるので、用紙とえんぴつをもらい、その場で名前とチケットの枚数(1枚か2枚)を記入して箱に入れる。
きっかり30分後に締め切られ、抽選が始まる。
大人気のショーには数百人が集まることもある。

名前が呼ばれるか? 
ドキドキの瞬間だ!

アメリカ人は当たった時の喜びの反応が激しい!
叫んで踊る!
当たらなくても見ていてこっちまで嬉しくなってしまう。

ラッキーなことに当たったら、応募用紙と当選した人が同じかどうかを劇場サイドが確認するので、ID(身分証明書。旅行者ならパスポート)を見せる。チケット代は現金のみの支払いになる。ID(身分証明書。旅行者ならパスポート)と現金はお忘れなく!

この私も何度か当たったことがあり、この上ない喜びだった!!

「playbill」「 lottery」という検索ワードでどのショーが抽選をしているか、当日券(RUSH TICKET)を販売しているか、最新情報が掲載されているPALYBILLのサイトにヒットするので、チャレンジする場合は確かめてください!

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ところで、カールくんはブロードウェイのLOTTERYが大好き!

庶民でないカールくんにとってブロードウェイのチケットは高額でもなんでもない。しかし、実際、正規で購入するよりは良い席をゲットできる確率がはるかに高く、なんと言ってもドキドキ感が堪らないからだと言う。
しかも羨ましいことにクジ運がいい。

週末、一緒にHamiltonのLOTTERYにチャンレジした!
クジ運がいいはずだったカールくんだが、残念なことに今回は当たらず。私も当たらず。

LOTTERYがダメでも何がなんでも今日はショーを観ようと、ラッシュチケットと言われる格安当日券を求めていろんな劇場に行ったが、席が離れていたり、売れ切れだったりとなかなかうまくいかない。

雪も降ってきたし、歩き疲れてもうどうでもよくなり、すっかりカールくん任せ。
言われるままに、ある劇場に行ってやっと当日券が入手できた!!

私はお芝居だと英語がさっぱり分からないからミュージカルがいいと言っていた。
だから、「僕らが観るのはミュージカルだよ!マリリン・モンローと結婚したこともあるプレイライターの作品だよ〜!」とカールくん。

しかし、ミュージカルではなく、お芝居だった。

A View from the Bridge『橋からの眺め』である。

カールくんは私を騙した!

***

マリリン・モンローと結婚したアーサー・ミラーの名前は知っているぞ!
教養としてそれぐらいの知識は身につけているぞ、えっへん!

「アーサー・ミラーの代表作といえば、『欲望という名の電車』(A Streetcar Named Desireは)だね」。
と言った後に、気付いた。

それはテネシー・ウィリアムズだった(赤面)。
教養はまだまだ身につけていない私だった(汗)。
知ったかぶりをして恥ずかしかったが、カールくんも知らなかったのか突っ込まれることはなかった(笑)!

有名なのはDeath of a Salesma『セールスマンの死』だ!

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A View from the Bridge『橋からの眺め』のポスター。

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前置きが長くなってしまったが、騙されて観ることになった「橋からの眺め」が思いがけず素晴らしかった!

本当に素晴らしかった!!!!
内容も俳優陣も素晴らしかった!!!
シンプルな舞台セットに、衝撃的なエンディング!

何よりも英語が理解できた!!!!

上演中、眠ったら乳首をちぎれるくらいつまむぞ!とカールくんから警告を受けていたが、一睡もすることなかったので私の乳首は無事だった(笑)!

食わず嫌いのまま死ぬまで観ることはなかったかもしれない。
騙してくれてありがとう!

ラッシュチケット(当日券)は、なんと20ドル!
それに席は前から2列目!!

***

PBAVIEWFROM
無料で配布されるPLAYBILL(プログラム)

***

お芝居のあらすじと「思うこと」があったのでお伝えする。
*** ネタバレになるのでご注意!! ***

お話の舞台は、ニューヨークはブルックリン。
なので、タイトルの橋はブルックリンブリッジだと思われる。

イタリア系移民でブルクッリンに住む 港湾労働者(longshoreman)のエディと妻ベアトリスは、幼くして孤児となった17歳の姪(血縁関係は妻の方)キャサリンと3人暮らし。

そこへ妻の従弟兄弟のマルコ(イタリアに子妻と供3人を残して来た)とロドルフォ(独身)がお金を稼ぐためにイタリアから来た。労働許可証もないので不法で働くことになる。一家3人としばらく一緒に住むことになった。

エディおじさんは若くてかわいい17歳の姪っ子に恋愛感情を持っているのではないかと疑うくらい異常なほど執着している。英語でいうところのOBSESSIONだ!

ロドルフォは若くて金髪でハンサムで、歌は上手で、料理もできて、洋裁もできる!
タイムズスクエアに行って、ブロードウエェイの劇場街を見てみたいと言う。

(これって・・・!ロドルフォは・・・)

キャサリンはロドルフォにメロメロになってしまい2人は結婚することに。妻のベアトリスも夫エディのキャサリンへの執着に心穏やかでなく結婚をすすめていた。

エディおじさんは2人の結婚に大大大大大反対!!!

アメリカ人と結婚するとグリーンカードがもらえるから結婚するんだ。ロドルフォはキャサリンを愛していないから、止めろとキャサリンを説得する。

(明らかに嫉妬だ!でも、嫉妬の他に・・・)

roduction images by Jan Versweyveld © Broadway.com

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© Broadway.com


裸の彼がロドルフォ。ラッセル・トヴェイが演じる。右側がエディおじさん役のマーク・ストロング(『キック・アス』のレッド・ミストのお父さん役が真っ先に思い浮かぶ)。

ある晩、若い2人が慌てて服を着ているところにエディおじさんが帰ってくる。取り繕っているが、ただならぬ雰囲気だった!

(席は2列目で下手端。肝心なキャサリンとロドルフォのセックスシーンが観られなかったので詳細は分からず。「しているのだろう」の雰囲気しか分からなかった。うううう〜 残念!やはり安く売られているには訳があるのであ〜る(笑))

エディおじさんはロドルフォの目の前でキャサリンの唇を無理やり奪う!

(ついにとうとう欲望が爆発したか!!!)

さらに驚く行動にエディおじさんは出る。
今度はロドルフォにも激しくぶちゅーーーとキスをするのだ!!!!

(エディおじさん、どうしてしまったの???)

後に嫉妬に苦しんだエディおじさんが取った行動(移民局に不法労働者がいると密告の電話をする)が引き金となって、事件が起こり、悲しい結末でお芝居は終わる。

roduction images by Jan Versweyveld © Broadway.com

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© Broadway.com


妻ベアトリスを演じるとニコーラ・ウォーカー(右)とキャサリン役のフィービー・フォックス(左)

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観劇後、カールくんと感想を話した。
そして、ロドルフォはGAYじゃないか?ということでカールくんと意見が一致した。GAYであることを裏付けるシーンについて話した。

戯曲が書かれていた時代は50年代。GAYであるということをあからさまに書けなかった。
でも、他のことでGAYであることを暗喩している。

俳優はGAYに見えるような典型的な演技はしていなかったが、ロドルフォが得意なこと、歌が上手の他に料理に洋裁!ストレートの男には稀な特技だ。ブロードウェイのショーが大好きなところ。

エディおじさんは「俺は料理はできないけどボクシングはできるぞ!」とキャサリンの前でロドルフォにジャブの仕方を教えた。まさにエディおじさんの行動は、ロドルフォはGAY!俺は男(ストレート)だというのを見せたかったのではないだろか?

結婚に反対したのは嫉妬もあったが、その他にロドルフォがGAYなので愛するキャサリンが幸せな結婚ができないなのではないかと心配したのではないだろうか?

ロドルフォがGAYであることをキャサリンに分からせるためにエディおじさんはロドルフォにキスをしたのではないか?
ダブルキスはGAYを証明するためエディおじさんの決死の覚悟だったのだ。

アーサー・ミラーが実際にどう書いているのか、今度、本を見て確認したいと思う。時代が時代だけに明白には書かれていないかもしれない。

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つたないリサーチの結果、このお芝居はロンドンに本拠地があり劇場も持つYoung Vic プロダクションが製作、2014年に上演されたらしい。
イギリスから輸入されたというわけだ!

主役のエディおじさん役のマーク・ストロングも妻役のニコーラ・ウォーカーもキャサリン役のフィービー・フォックスもロドルフォ役のラッセル・トヴェイもお話の案内人で弁護士役のマイケル・ゴールドもみんなイギリス人。しかもアメリカ英語で演技していた。イギリス人の俳優は誰もイギリス人だとは疑わない完璧なアメリカ英語で演技する。すごいなーと王立演劇学校のレベルの高さを感じる。

ロンドン公演では、イギリス英語で上演されたのだろか? ブルックリンが舞台なのでアメリカ英語で? 気になるところだ。

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さらに話が長くなって申し訳ないが、A View from the Bridge『橋からの眺め』に感動した理由がもうひとつある。
妻ベアトリスを演じるとニコーラ・ウォーカーだ。

アメリカのドラマ “How to Get Away With Murder”『殺人を無罪にする方法』を観終わった後、すぐに別のドラマの中毒になってしまったのだ。
BBCドラマ、RIVERである。全6話。

最終話で号泣した。
今でも流れた音楽とシーンを思い出しては泣いてしまう。
私をまたもや中毒にさせた(笑)ドラマに、ニコーラ・ウォーカーが準主役で出演していたのだ。

だから、画面から飛び出して舞台で演技する3Dのスティービー(RIVERでの役名)に目が釘付けだった。
本物に会えた(本当は見られただが)嬉しさはこの上なかった!

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BBCドラマ RIVER。主演はスウェーデン俳優のステラン・スカルスガルド。彼の後ろにいるのが、ニコーラ・ウォーカーだ。

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ミュージカルと騙されて観劇することになったお芝居が、アーサー・ミラーの名作戯曲で、20ドルの激安チケットで2列目の席で、最高のキャスティングで、斬新なセットで、実はGAYであることを暗喩している衝撃的な作品であった。こういうことを経験できるニューヨーク。やっぱりI ❤ NEW YORK!

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観劇後、劇場のポスターの前でカールくんと記念撮影!2人ともに観劇後は感激の嵐だった。騙してくれてありがとう、カールくん!

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ダブルキスの意味。アーサー・ミラーの『橋からの眺め』。」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 感激のあまり気を失う! | Deeeeep! New York! 2016

  2. Megumiさん、更新ありがとうございます☺

    今回も興味深いお芝居鑑賞の裏側、面白かったです!
    知らないことは損だなあ~
    賢く楽しく楽しまれているご様子、こちらもほっこりします♪

    そしてカールくんの乳首つまむぞのくだり、声出して爆笑しました(笑)
    ナイスコンビです♪

    RIVERも気になります。φ(..)メモメモ

    やはりNYは刺激的な街というイメージがします。
    そこで生活されているMegumiさん、憧れ&尊敬^^

    個人的に、お初の方でQAFファンの梅梅さんのコメントも、嬉しく拝見しました♪
    Megumiさんにも感謝です^^ XOXO

    • Yumikoさま

      おはこんばんちは〜

      日本も大雪に見舞われたとのことですが大丈夫でしょうか?

      Yumikoさんとも梅梅さんともQAFでつながることができて大変嬉しいです!

      それにドラマの影響でゲイ友を求めて夜な夜なGAY バーに通っていたことを思い出しました。

      カールくんに会ったら、「Yumikoさんが乳首つまんで欲しいんだって」と言いますね!躊躇なく喜んでギューーッとつまんでくれるはずです!
      お試しくださ〜い!

      YumikoさんもHAVE A GREAT DAY!!

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