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HIVウィルス感染検査はツバでする!

日本人ゲイ友タカユキくんと会った時に、「LGBTコミュニティーセンターに行かない?」と誘ったところ即答で行くことになった。
私は2回目だ。以前ニューヨーク初めてのゲイ友ジャスティンと行ったことがある。タカユキくんは初めてとのこと。

なぜ行こうかと思ったのかというとLGBTコミュニティーセンターでボランティア活動をしようと思っていて情報を入手するためである。

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LGBTコミュニティーセンターはウエストビレッジにある。創立は1983年ということだ。
サイトはこちら。

RainbowLGBT
目印はレインボーフラッグだ!ニューヨークのブルースカイにたなびていた。

LGBTEntramce
こちらがエントランス!この写真では分かりにくいだろうが、入りやすい雰囲気があるので初めてでも大丈夫。

内装は新しくなっていてロビーにはコーヒーショップもある。2階には本屋さんもある。

tagame
田亀源五郎さんの英訳マンガも販売されていた

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「HIVテストもしているのかな? 一緒に検査しませんか?」とタカユキくん。

受付のお兄さんに聞くと毎週水曜日の午後5時から無料のHIVテストをしているという。今日は偶然にも水曜日!

HIVテストを受けたのは7、8年前ぐらいだった。ネガティヴだったし、感染するようなことはしていないが、いざ検査となるとドキドキする。タカユキくんに「私はいいかな。大丈夫」と断った。意気地のない私。しかし、性的にアクティヴなタカユキくんは私以上に緊張しているだろうし、一人で受けたくない気持ちもよく分かる。で、私も受けることにした。タカユキくんは昨年検査しているという。

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検査が始まる夕方5時まで時間があったのでセンターの中庭の椅子に座る。ご年配の方々もいるし、夏休みということもあるのだろう、10代と思われる若者がたくさんいた。
センターには若者の専門部門がある。体も心も激しく変化する10代。大多数とは違うセクシャリティーにどう向き合うか?社会でどう生きればいいのか? LGBTコミュニティーセンターには若者のサポートプログラムやグループがある。

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検査するところはメインビルディングではなく別棟にある。

氏名、住所、生年月日、性別、セクシャリティー、健康状態などなどたくさんの項目を記入してサインする。6ページくらいはあったと思う。検査受付の女性に渡す。
トランスジェンダーのお姉さんが来て、タカユキくんの名前を呼ぶ。
彼は彼女に従って奥に行く。
しばらくすると私も呼ばれ、診察室のような個室に案内された。

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私の検査をする人もトランスジェンダーのお姉さんだった。
医療用のゴム手袋をして検査用のキットを取り出して並べた。そして、妊娠検査薬に似た棒状のものが渡された。

hiv1
これだ!

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「これを右上の歯茎から左上に動かして、下の歯茎も左から右に動かしてね」と指示を受けた。

「ええええええええええっ? 血を取るんじゃないの?」

タカユキくも去年検査した時は指先をちょっと切られ血液で検査だったと言っていたし、私が検査した時も注射で採血された。

「ううん、唾(ツバ)で今は分かるのよ。20分後には結果が出るの。ネガティヴ(陰性)だったら線が一本。二本だったらポジティヴ(陽性)」とお姉さん。

HIV2
口内の前の歯茎を一周するようにする

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待っている間は本当にドキドキだった。
気を紛らわせるために出身はどこ?とかニューヨークは好きか?とか当たり障りのない世間話をした。

しばらくすると棒状のものに線が一本出た!!!

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二本目来るか????
来てしまう???
ううううーー

それこそ下の口にも上の口にも「形状が松茸にそっくりな生の棒状のもの」を入れたことはないし、手ですら「形状が松茸にそっくりな生の棒状のもの」を握ったこともないので二本目が出るはずはないのだが、でもどうなるか分からないのが人生だ。

matsutake
「形状が松茸にそっくりな生の棒状のもの」は生でなく妄想の世界だけの我が人生であ〜る。う〜ん

「ポジティヴ(陽性)だったらね、実はすぐに本当にすぐに二本目が出てくるの。だからYouは大丈夫、ネガティヴ(陰性)よ」とお姉さんに言われた。
「でも20分は待ちましょう」

「ポジティヴの人には何と言うの?」と気になったのでお姉さんに質問した。
「すぐに病院に行くようにアドバイスするし、LGBTコミュニティーセンターにはサポートグループもあるから大丈夫よ」。

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20分経過し、線は一本のままだった。

[ Rapid HIV Antibody Test Result/Negative ](短時間でHIVの抗体が判明するテストの結果/陰性)と書かれた証明書をお姉さんがくれた。
それから、PrEP(プレップ)についての説明を受けた。

PrEP(プレップ)とはなんぞや?

HIVウィルスの感染を防ぐ薬である!医師にお願いすれば処方してもらえる。
次回のブログでお伝えしたいと思う。

PreEP Card
PrEP(プレップ)についてのパンフレットをもらう

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検査受付にはタカユキくんがいた。
ニコニコしているからきっと彼も大丈夫に違いない。
結果を聞くと彼もネガティヴ(陰性)だった!!

良かった!

ツバで検査できるとは!!タカユキくんも驚いていた。
テクノロジーもすごい勢いで発達しているが医学も然りである。

帰り際、センターの受付のお兄さんが「キミたち、HIVウィルス検査は受けたの?」と聞いてきた。
「二人ともネガティヴだったよ」と答える。
お兄さんは「ナイス」と言ってくれた。

ORAQUICK ADVANCE HIV TEST
これが検査キット

LGBTコミュニテイーセンターでは無料で検査してくれるが、FDAアメリカ食品医薬品局に承認されており普通の薬局で40ドルくらいで販売されているので誰でも購入できる!というのを自宅に帰ってからネットで調べて分かった。今日の今日まで唾液で検査できるなんて知らなかった。びっくりだった!!

HIVTESTKIT
商品名はORAQUICK(オーラクイック)。どこの薬局でもネットでも購入できるので気軽に自宅でHIVウィルス感染検査できる。お金を払えば簡単に手に入るとはいえ、いざ検査をするのは勇気が必要だと思う。

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HIVとAIDS(エイズ)の違いとは?

簡単に説明するとHIVウィルスに感染すると潜伏期間(個人差があり2、3ヶ月から10年以上)を経てAIDS(エイズ)を発症し免疫低下を引き起こす。健康な人ならなんともないウィルスやカビやバクテリアで様々な症状に至る。23の合併症がエイズ発症の基準となっている。

現在は薬が進歩したのでHIV感染=死の宣告ではなくなった。
早期発見で薬を服用すればエイズの発症を防ぐことができるのだ。
またHIVウィルスに感染してから6週間から6ヶ月以内には抗体ができる。
その前に検査をしてしまうと感染していてもネガティヴ(陰性)と出てしまう。

アーカンソー州の健康局のサイトを参照

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LGBTコミュニティーセンターから自宅に帰り、ニューヨークのHIV感染者数はどうなのだろうと気になり調べてみた。

ニューヨーク市健康・精神衛生局が2014年12月に発表した2013年1月1日から12月31日までに届け出があったHIVウィルス感染者数とエイズ発症者数のレポートからHIVウィルス感染者数にフォーカスして抜粋してみた。

HIVウィルス感染者 
合計2,258人(男性:1,836人/81.3%  女性:422人/18.7%)

年齢別

13-19歳 107人(4.70%)
20-29歳 886人 (39.2%)
30-39歳 537人(23.8%)
40-49歳 417人(18.5%)

地域別

マンハッタン 597人(26.4%)
ブルックリン 561人(24.8%)

セクシャリティー

ゲイ 1,347人 (59.7%)
Men who have sex with men (MSM)

ドラッグを注射した経験のゲイ 36人(1.6%)
MSM & Injection drug use history (IDU)

ヘテロセクシャル(ストレート)397人(17.6%)

*レポートを見ると女性よりは男性の方が感染率が高く、20代が最も感染している世代で、マンハッタンとブルックリンは僅差で、ゲイガイズの感染率が全体の半数。

また2011年の年間レポートも見てみると、HIV感染者の合計は2,734人(男性: 2,132人/78% 女性:602人/22%)、20代の感染が最も多く969人、ゲイガイズの感染者は1,484人で全体の54.3%ということなので、単純に数字を比べてみても2013年の感染者は減少している!!

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薬の進歩によりHIVウィルス感染イコール死!!という怖い病ではなくなった。「SAFE SEXと感染しても早期発見が大切!!」 勇気はいるがセックスをしているなら検査しよう!

参照先: HIV Surveillance Annual Report, 2013