ずっとずっとずっと愛している!

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Vくんのガールフレンド、トレシアのWAKEにニューヨークの隣の州、ニュージャージーまで行った。

WAKEとは日本ではお通夜にあたる儀式らしく、
埋葬の前日に集まり、亡くなった方の思い出を語り、遺体にも対面する。
一軒家のような葬儀場(Funeral Home)で行われた。

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Vくんが自ら編集したガールフレンドのビデオがリビングルームのようなスペースで流れていた。
生まれたばかりの赤ちゃんの頃から、子供時代、大学時代、そして2人のLOVE LOVE時代、そして亡くなる二日前に2人で一緒に行ったヤンキースタジアムでの写真、そしてVくん監督映画でカメラテストとしてトレシアがインタビューされているシーンも収録されていて彼女の話す声がスピーカーに流れると胸が締め付けられ、会場からはすすり泣く声が聞こえた。

その奥の部屋には遺体が安置されていた。
部屋に入りきれないほど人々が集まり、
最初はトレシアのお母さん、小学生の頃からの大親友(彼がゲイなのでその関係で彼女にはゲイの友達が多い)、そしてボーイフレンドのVくんがトレシアの思い出を語った。

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お母さんはトレシアがどんなに面白くおちゃめな女の子だったかをユーモアたっぷりで語り、
みんなの笑いを誘っていた。
お葬式ではなく結婚式での母親のスピーチのようだった。

お通夜で笑い!?
という日本では有り得ない状況に私は一瞬戸惑ったが、お母さんもユーモアを交えて娘のことを語っていないと精神の均衡を保っていられないかもしれないと思った。
涙を見せずに気丈に振る舞い笑顔を見せるお母さんの姿を見て悲しくなる。

大親友のゲイさんとは昨年末の映画の撮影で会ったことがある。
トレシアととっても仲が良いんだなぁ〜というのがすぐに分かった。
動物が大好きでベジタリアンでたくさんのベジタリアンの料理を作ってくれたトレシアの思い出を語った。

そして最後はボーイフレンドのVくん。
トレシアにラブレターを書いたと言ってそれを読んだ。
号泣して言葉にならなかった。
「ずっとずっとずっと愛しているよ」と泣きながら必死に声に出したVくん。
その姿にみんな涙した。

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棺桶は洋画に登場する黒いもので上半身の部分が開閉できるようになっている。
WAKEでは閉じる場合と開く場合があるらしい。
会場に入る前に知人からopen casket(オープン・カスケット)になっていて、つまり棺桶が開いていて、
生前のトレシアとは違っている・・・と聞いていて、トレシアには申し訳ないと思ったが、死体を見るのは正直な気持ちとても怖かった。

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アメリカでは葬儀場(Funeral Home)にて遺体に血を抜いて防腐剤を入れて腐敗を防ぎ、
損傷が激しい場合は修復して、生前に近い姿にする。
またキリスト教では復活を信じているので、火葬にはぜず、土葬にするので、
宗教的なことからも修復という技術が発達したのだと思う。

アメリカのドラマにSIX FEET UNDERというのがある。
葬儀場(Funeral Home)を経営する家族の話だ。
シリアスなドラマではなく「死」をテーマにした面白いドラマである。
墓穴は6フィート(約180cm)掘るからタイトルが付けられた。
修復の話や血を抜く話が毎回出て来る。

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眠るトレシアは生前の面影とは少しは違っていた。
違うと感じるのは、生きてないからで、生物としての息吹が感じられないからだ。
顔にはどこにも損傷がなく、列車の事故で亡くなった場合、バラバラでそれはそれは無惨な姿というのを
噂で耳にするが、そういうことは外見からは一切分からない。
弾力が失われ、人なんだけど人でないような、人なんだけど「物」になってしまったような不思議な気持ちに捕われた。

なぜ深夜、線路にいたのか?それはドラッグのせいなのか?それとも覚悟の死だったのか?

それは警察にも家族にも友達にも恋人にも分からないままだという。

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Vくんと一緒にトレシアの前にひざまずく。
膝を載せる専用の台がある。
「トレシア、メグミが来てくれたよ」と息をしていない静かなトレシアに声を掛ける。
一緒にお祈りをする。
私もVくんも大声を出して泣いた。

25歳とはあまりにも若い死だ。残念でたまらない。

これからVくんと結婚して子供も授かっただろう。
トレシアが手伝った映画も完成して一緒に観る事ができて、
もしかしてその映画でVくんが商業的な映画監督になることができたかもしれないのに・・・。

出掛ける時、「行って来ます!」と家族や恋人に声を掛ける。それが、家族や恋人と会えるのが最後だなんて誰も思わない。家に帰って来て会えるのが日常で当然だから。出掛ける時に挨拶したのが生きているトレシアと会った最後だった。

Vくんにとっては辛い日々だろう。
愛するトレシアがいない世界をどう生きるか。
お酒とドラッグという破滅の方向には行かないで、
どうにか乗り越えてたくさんいい作品を撮って欲しいと思う。
私でできることがあるなら手伝うから。

トレシアの御霊が安らぎますように・・・。

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愛する者の死
家族の死

直面しなくていいのなら避けたい。
親が亡くなったと知らせが日本から来たら、責任放棄でサハラ砂漠に逃げるとか、とにかく日本から遥か遠くに逃げ現実逃避をするとか、極端に言えば先に逝ってしまいたいが、それだけは絶対できない。
残された子供としての責任を果たさなければならない。

死は辛い・・・

涙・・・

ずっとずっとずっと愛している!」への2件のフィードバック

  1. 母親の強さと言うのは本当に凄いなぁと僕は思います。
    うちの母親はいつもいつも子供が一番。
    僕たち兄弟にはいつもナイキ(その当時かっこ良かったんです)のスニーカーを買ってくれて、お母さんはあんまり人前で営業はしないから、と言っていつも安い靴を買っていたのを子供ながらに何となく覚えています。
    僕が高校に入ってからアルバイトを始めて、初給料をもらった時お母さんをつれて高島屋に行き、好きな靴どれでも買ってあげるよ!と言ったのにセール品を物色しだした時はあわてましたね。笑 でも、凄くうれしそうだったのは覚えています。
    僕はアメリカに来てから経済的にも一人で生きて行けないので、親に学費は払ってもらっていて申し訳ない気持ちでいっぱいだと言う事を伝えたら、そんな気持ちで勉強するなら辞めて就職しなさい。お父さん、お母さんに倍で返す為に勉強しているのだから。と。笑

    トレシアさんのお母さんも立派だと思います。メグミさんの最後の言葉で、直面しなくていいのなら避けたい。本当ですよね。
    どんなに嫌いな人でもいつかは死ぬ、でも大好きな人もいつかは死んでしまう事実。本当に悲しいですね。

    でも生きている間、暖かい言葉を沢山かけたり、優しくしてあげたり
    出来れば僕はそれでまっとうした人生かな。なんて思います。

    メグミさん、Deeeeep 22nd century.楽しみにしていますよ!

    • 誠次さん

      お母様のお話を読んで胸が熱くなり、ジーンと感動しました。
      誠次さんは孝行息子ですね!

      私も親に倍返ししなければ!と思いました。
      その気持ちで日々がんばろう!!!と喝を入れました!
      いつももらってばかりで、自分の貧乏を理由に誕生日プレゼントは送らなかったり、アメリカのおみやげも非常にしょぼいもので反省しました。

      また「生きている間、暖かい言葉を沢山かけたり、優しくしてあげたり出来れば僕はそれでまっとうした人生かな。」
      (TOT) 涙が出ます!!!
      私はいつも悪口と不満ばかりで、これから人に思いやりのある言葉をかけようと思います。
      誠次さんは拙ブログでいつも優しい言葉を私に書いてくれて私は何度励まされたことか・・・

      まだ青年なのに立派です。
      人間歳を重ねて分かることもありますが、私はまだまだなぁ〜

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