蝶々の刺青

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今朝、ケータイ電話をチェックするとメッセージが入っていた。
キッチンが水漏れしていて修理して欲しいと大家さんに言ったのできっとそのことだ!
あーー、面倒くせーーーと思ってメッセージを聞く。

大家さんからではなかった。

アメリカ人の友達で映画監督を志し、商業的には成功はしていないが、コンスタントに作品を撮影している
Vくんからで、それも泣きながら「とっても悲しいことがあったんだ・・・。悲しくて・・・。メッセージを聞いたら折り返し電話をして欲しい・・・」とメッセージが残されていた。

Vくんが泣くほどまでに悲しいこと・・・
撮影した16フィルムが焼けたとか、きっと映画製作に関わることに違いないと思った。

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Vくんが現在製作&監督している映画に出せてもらった。
台詞があり、「日本人Faghag・おこげカメラマン」という役だった(笑)
現在の著者近影の写真はその映画の衣装であ〜る!

役というよりは、演じる必要もなく、私そのまんまでいいからというのが監督Vくんからの指示だった(笑)。
撮影は昨年12月から始まり、現在も進行中である。
自主制作で、16ミリフィルムは高額なので、働いてお金を捻出して、フィルムを買って撮影をして現像している。
クレイジーな内容で、時間は掛かるが完成が楽しみだ。

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そういう経済的に大変な状況で、苦労して撮影した血と汗と努力の結晶であるフィルムが焼けて
喪失・・・
できれば考えたくない・・・ことである。

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どう励まそうかと考える。

励まさないで話を聞いてあげよう!それも心のセラピーになる。
私はミッドタウンにいて、歩きながら、Vくんに電話を掛けた。

呼び出し音が3つでVくんが出た。

泣いている。
激しく泣いている。

「ボクのガールフレンドが死んじゃったんだよ〜」

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Vくんのガールフレンド、トレシアさん。
25歳。
お母さんが日系のアメリカ人でお父さんが白人で、かわいい女性だった。
アメリカ人には珍しく、とってもシャイで、日本人の気質を受け継いだのだろうと思った。
お母さんと何度か来日もしている。

Vくんも体中に刺青があるが、トレシアさんも体中に刺青を入れていた。
ジャスティンも体中刺青男だ。
心理学的な解説を探せば全身刺青の人について探すことができるかもしれないが、
アメリカでは普通の人が普通に刺青を入れている。

トレシアさんはVくんの映画の撮影を手伝っていて、車の運転から機材運びまで何でもしていた。
まさに内助の功である。

そして、トレシアさんにはゲイ友が多く、Vさんはガールフレンドとゲイ友と3人で家で映画を観たとかよく
彼女とゲイ友について教えてくれた。

Vくんの映画にガールフレンドのゲイ友も出演していて、Vくんから私に映画に出てとお願いをされた時に
演技の勉強もしていないし、不細工だし、出演するのはちょっとぉ〜と断ったのである。
「ゲイメンも出るよ〜!現場にはゲイメンもいるよ〜」と言って私を説得!
ゲイメンに釣られたのは言うまでもないのだが(汗)

撮影現場では3人のゲイガイズがいて、トレシアさんととても仲が良く、
ここにカールくんがいたら私だって〜と燃やした対抗心は今でも生々しく(笑)覚えている(笑)。

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実は、FAGHAG・おこげ・「ゲイメン大好きな女性」・「ゲイメンとつるむ女性」についてショート・ドキュメンタリーを
撮影しようとずっと考えていて、トレシアさんとトレシアさんのゲイ友たちにインタビューしようとお願いしたところ快諾してくれた・・・

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5月末。
撮影で取り残した分があるからと言われて、ニュージャージーに出掛けた。
そしてVくんとトレシアさんが住み始めたばかりという新居に案内され、
そこでトレシアさんがメイクアップをしてくれて、衣装に着替えた。

彼女のゲイ友で以前の撮影では会ったことがないスコットが同じシーンがあるということで来た。
スコットはマンハッタンのゲイクラブには行かない・・・とかそんな話をした。
白人の背の高いかわいい青年だった。

2人の同棲生活のアパートにはたくさんの額に入ったホラー映画のポスターが飾られていて、
見ているだけでゾクゾクして怖かった・・・

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先週の週末、Vくんはペンシルヴァニア州にミュージック・ビデオの撮影があるから出掛けた。
彼が留守の日曜日、トレシアさんのゲイ友スコットがトレシアさんを訪れ、2人でドラッグをしたらしい。
いい気分になった2人は夜中、外をふらふら歩き回った。
なぜか線路に行き、列車に2人ともはねられた。

遺体は損傷が激しく、警察から「トレシアさんには蝶々の刺青がありますか?」とVくんは聞かれ、
「イエス」と答えた。

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「トレシアはメグミのこと、すげーー、おもしろいって言っていた。だから知らせなきゃって思った」
Vくんは電話の向こうで泣き崩れ、私は観光客やスーツ姿のビジネスマンが行き交うミッドタウンのストリート
を歩いていたが、声を出して泣いた。

トレシアさん、25歳。
ゲイ友スコット、25歳。

若過ぎる死である。
ご冥福を祈ります・・・

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映画のギャラとしてトレシアがご馳走してくれたアイスクリーム・サンディー!!!甘くって盛りつけいい加減でアメリカの味だった(涙)

蝶々の刺青」への8件のフィードバック

  1. とても、悲しいです。。。(真剣に)

    25歳の若さ、人柄。。。
    僕も見たことも会ったこともない彼らですが、
    本当に悲しいです。。。

    原因はあっても理由はない。。。
    あっても探ってはいけない、だったかな…。
    考えさせられました。。

    • Fumiさん

      この事件は衝撃的でした。
      言葉もありません・・・

      残された恋人と家族を思うと胸が潰れます・・・
      ご冥福を祈ります・・・

  2. サンデー、ものすごく美味しそうです。

    少し前、うっすら消えてなくなりたい気持ちになっていたことを反省します。 May her spirit rest in peace。。。

    • satokoさん

      私も同じです・・・

      生きていれば何か良いことがあるはずです。
      辛いことばかりではないはず・・・
      自分にも言い聞かせています。

  3. 何て悲しいの。映画に出てくる話みたい・・・。
    ご冥福をお祈りします。

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