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無理と分かっていても側にいたい・・・

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チャイナタウンに着き、「あの人達は何語を話している?」と22歳中国人大学生に聞く。
彼の母国語は北京語。
北京語だけらしい。
中国語は大きく分けて北京語と広東語があるくらいは知っている。
香港は広東語。首都北京は北京語。台湾は北京語。上海は上海語。
表記は同じだが発音がかなり違うのもどこから学んだかは定かではないが知っている。
この人何語を話しているのだろうと外国語を聴くのが好きな私にとって
中国本土出身の中国人に直接質問できるこの機会に感動すら覚えた。

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つい先日まではハングル〜と騒いでいたのにすっかり心は中国語である(笑)。
現金だ。
ニューヨークのチャイナタウンの中国人は広東州か福建州の出身で
22歳中国人大学生は何を言っているのかさっぱり分からないと言っていた。
八百屋で働く浅黒くしわしわのおじさんとヨーロッパの高級ブランド品に全身を包む若者。
この格差を感じ、「何かおかしい」と感じぜずにはいられなかった。

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中国人はなんでも食べる!と言われているが、
チャイナタウンを歩きながら彼が何を食べたかを話してくれる。
そしてその話の間に「中国人と韓国人と日本人の見分けはつくの?」と彼に質問されて、
「うん、大抵は分かるよ」と答える。
なぜ22歳中国人大学生が私にそんな質問をしたかと言うと、
なんと私が彼に話し掛けた言葉は「あなた、韓国人ですか?」だったらしい!
全然覚えていない!!
全然!!!!
かなり酔っていた私は無意識のうちに韓国人を探していたのだった!!!!

うぐぐぐぐぐぐぐ〜〜〜

笑ってしまった!!!


酔って無意識のうちにニューヨークのジェジュンを、ソンジェくんを探している私って!!!!

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私と話をして面白かったのか、
「友達に連絡して30分延長してもいいよ〜」と22歳中国人大学生。
そんな延長30分ってラブホテルの休憩じゃないんだから。
もし私が同世代の22歳だったら、「そんないいよ〜、帰りなよ」と怒ると思う。
しかし、「せこい30分」に若さを感じて許せる自分に己の年輪を感じる(笑)。

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お腹は空いていない、ごはんはいらないと言っていたが、22歳中国人大学生とレストランに行く事にした。
彼が以前友達を連れて来たところだそうだ。
行列ができていたが、彼がお店の人と話をしてバーカウンターに座ることができた。
こういう時に同じ言語を話せる者がいると便利であ〜る!
連れていったもらったところはかつて一度だけ来たことがあった。
「初めて来たわ」と嘘を言った。
本当のことを言わなかった。
そこは男である彼を勃(立)てたいからであ〜る(笑)。
この歳でセックスをしても処女のふりをするが如くであ〜る(笑)。

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オーダーは任せた!と彼にお願いをする。
そして最初に運ばれたのはこれまでの人生で見た事もないものであった。
「お先にどうぞ」と私が言うと「そちらからどうぞ」と彼。
「日本では男性が先に食べるんだよ」
「中国ではアメリカと同じレディーファーストだよ」と私にすすめる。
「中国人は食べるのが汚いよ〜」と言ってお箸でその「物体」を刺してぱくっと食べる。

うげぇ〜〜〜〜〜〜!

「日本じゃお箸を刺してはいけなんだよ」と指導!
「あっ、ごめん」

外身は揚げパンで、中身は栗餡の饅頭(まんとう)!?
「この餡は何なの?」と聞くと「知らない」。
知らないでオーダーするなよと突っ込みたかったけど素面で会うのは初めてなので控える(笑)。

彼がオーダーしたのは「鰻(うなぎ)」だった。
「中国でも鰻は食べるの?」
「うん」
冷凍ものを沸騰したお湯に入れて解凍した鰻(うなぎ)に卵チャーハンという日本では考えらない組み合わせだった。
まさに中国版うなチャーハン!!


奥が生まれて初めて食べたあげパン栗餡饅頭。正式名不明。右がうなチャーハン!!

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彼よりもお金持ちの中国人留学生の話。
プラダを1万ドル(約100万円)分買った話。
彼も「今月は全然買い物していなぁ〜。Diorのコート、2千ドルだけだよ〜」と言う。

おのれ〜、2千ドルのコート!それだけって!!
私が2千ドル稼ぐのって大変なことなのに!!!!!
世界が違う・・・。
親の職業を聞くとうまい具合にはぐらかされてしまった!

「本当にspoiledされているね〜」と私。
「何、spoiledって?」
「知らないの?」
「知らない」
「i phone持っているんだから、調べなさい」
「スペル教えて〜」
「 S ・P・ O ・I・L・ E・ D」

私がスペルを言うのと合わせてタイプしている。
かわいいぃ〜。
「そうだね、ボク、spoiledだっ」と喜んでいる。

電話が掛かって来て出る彼。
それも2回。
自分ではどうしていいか分からない友達がいて助言を求めに電話をするという。
「食事中は電話に出ないのよ。失礼よ」とまたもや指導!!!

箸の使い方に英単語を教え食事中のマナーも指導!
私は母親か!!!!!

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「やっぱり一人っ子なの?」
「うん、そうだよ。法律だもん」
「戸籍には載っていない秘密の妹とか、罰金払って生んだ兄弟とかいなの?」と私もネット・ニュースの読み過ぎなのか
質問してみる。
「いないよ〜」

このやりたい放題わがままし放題は中国の一人っ子政策の弊害だと思う。
人の気持ち考えなさすぎ!
ウキペディアをどうぞ!

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彼は本当におしゃべりで話が止まらない。
その話を聞きながら、
Diorのコート2千ドルを買うお金があるのなら、歯並びが悪いので歯の矯正をするとか、腫れている目を二重にするとか、
鼻筋を通すとかもっとイケメンになる方向にお金を使えばいいのになぁ〜。

背は高いんだし、お肌も綺麗で、色白だし、さらに格好良くなるのに!
それに、ゲジゲジ眉毛。
お金があるんだから、チェルシーのメンズ・エステに行き、日本男児を見習ってもっとトリムしてシャープな眉にすればいいのになぁ。
外見を着飾る方向ではなく、自分改造に向ければいいのに・・・・
残念だ!
私が母親ならそう言う。

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彼が出身の省都の平均月給は200ドル(約2万円)だそうだ。
人民元が激安なのでアメリカが上げるようにと圧力を掛けているが、中国政府は応じない雰囲気だ。
平均月給200ドルの生活の中、息子にアメリカで必要以上の贅沢三昧の生活を送らせることができるとは
労働者を搾取してお金を儲けている以外に考えられない。
彼のDiorのコートは中国人の血と汗と涙が染み込んでいるのだ!
ビリオネアーが毎年登場し貧困層との差が拡大。
このままでは中国に大規模な暴動が起きるのではないかと思った。

私は急に国粋主義者になった!
愛国精神ばりばりだ!
「私は貧乏な日本人だけど、そこまで酷い格差がない先進国の日本に生まれ良かった!」
と22歳中国人大学生に言ってしまった!!!
言わずにはいらなかった!!!

NIPPON!万歳!!!!

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LOOSER(負け犬)の私だ。
資本主義でも恋愛市場でもどこでも負けてばかりの私。
母親にはなれないし、子孫繁栄においては抹殺されても仕方がない位置にいる。
22歳中国人大学生の異常な程の豪華ぶりに接し、比較して、非常にみじめになったのは事実。

祖母からもらった70年代のビンテージのハンドバッグ。
レザーが格好良いかんじに使われて、色が薄れている部分もあって、デザインが30年経った今は斬新で、
新品じゃなくて趣があって私はとても気に入っている。
そうカケル青年がいつも私のバッグを褒めてくれる(涙)。
Gの文字もLとVの文字もないが、そんなバッグを愛する自分にプライドを持ちたいと思う!

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お会計になり、私が「あたなは学生。私は貧乏な日本人だけど(これは余計だった)、
お金稼いでいるし、年上だし、私が払う」とビルを取る。
「チップだけもボクが払うよ」とお金を出すが、
「そのチップじゃ少ないよ。最低はこれくらい出さなきゃ。男ならせこいのはだめ。
それこそチップはたくさん出さなきゃ」とまたまた指導。

口うるさい年上の女と敬遠されようが、それはアメリカで暮らしていく基本だし、
恥をかくのはあなたなのよ!
これまた母親になる!!!!

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レストランを出る。
またもや電話が掛かって来た。
中国語で話をしている。
お誕生日のお友達が「早く来て〜来て〜来て〜」と言っているので、そろそろ行かなければならないという。

こんな甘やかされて育った子供ぉ〜〜と思っても離れ難い想いが・・・。
今夜、ずっとこのまま一緒にいたい!と思う。
アドレナリンのせいだ・・・と分かっていても・・・。

「行かないで〜〜〜!!私と一緒にいて〜〜〜」とは言いたくても言えないし・・・。
歳の差は大きい。
これが私も22歳だったら無理矢理地下鉄に一緒に乗って付いて行く!
しかし、私は大人だからそれもかなり大人だから我慢だ。
今夜で彼とは二度と会わないかもしれない・・・。

私が激しく酔い、ビール・ゴーグルを掛けていたとはいえ、
ゲイ・クラブで大勢のゲイガイズがいる中、
22歳中国人大学生を抱き締め、「あなたと出会って嬉しい」とささやき、
キスをして、舌をからめ、首筋にクチビルを這わせたあの時のまま〜〜
「時ヲ止メテ!!!」
私が幸福な気持ちで満たされていた、あの時に!

♪ 時ヲ止メテ ずっと君の そばにいたい ♪
の心境である。

東方神起の新曲「時ヲ止メテ」
作詞:Shinjiroh Inoueより。

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地下鉄の駅の近くで22歳中国人大学生は、
「メグミさんもニューヨークに住んでいるし、ボクはちょっと遠いけど同じニューヨークだし、
また会いましょう!」と同じことを2回言う。

そしてハグをして、階段を下りる彼に手を振って、階段途中で振り返った彼に涙をふくジェスチャーをして見送る。
彼も止まって涙をふくジェスシャーをして駅の中に入っていた・・・
身のこなしは、どこから見てもゲイだった・・・

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直後、私はカールくんに電話をした。

「どこにいるんだよ〜!みんな待っているよ!中国のセックス・トイも来るの?」

カールくんは22歳中国人大学生のことを「中国のセックス・トイ」と呼んでいる。
私がMAKE OUTして彼にもやもや〜しているからだ(笑)。

「ううん、来ない。私だけ」
「分かった!早くぅ〜、早くぅ〜、早くおいでよ〜〜」
カールくんの声を聞いて涙が出た・・・。

カールくん・・・

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私、何をしているんだろう。
22歳中国人大学生を愛しいと想う気持ちを消さなきゃ・・・。
ちゃんと私を受け止めてくれるストレートの男性と本当に向き合わないと
このまま歳を取って朽ち果ててしまう・・・。
なんだか辛い。
胸が痛い。
みじめな貧乏日本人・・・
ニューヨークに来ても貧乏で、何一つ成し遂げたものはなく、いつも悩んでばかりで、
ヴィトンのバッグ1個さえ買えない。
それに、デブで不細工でモテなくて、歳だけは取っていっていく・・・
誰も愛してはくれない・・・

カールくん達がいるウエスト・ビレッジのレストランに向かいながら、
涙が後から後からこぼれ落ちた。