そうはさせないよ!

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***

私が住むアパートの通りの歩道に、女性が自転車から落ちたのか、
女性と自転車が転がっていた。
夜の8時頃だった。
女性は短髪の白髪頭で年の頃は、50歳~55歳だろうか。
太っていて、髪型も服装も男性的なので第一印象はレズビアン?だった。

「大丈夫ですか?」
と声を掛け、立ち上がるのを助けようと手を出した。
救急車を呼んだ方がいいかもしれないとケータイをバックから出した。
鬱陶しい表情をされ、「あーーーー」と叫ばれ、よろよろしながら彼女は自分で立った。

彼女の吐く息はお酒臭かった。

彼女が寝転がっている場所は歩道であり、ベーカリーの店先だった。
私との様子を見たのか、
ベーカリーの人が出てきて、「いつものことだから放っておきなよ」と言われた。
酔っ払って自転車からこけるおばさんとして有名に違いない。
夜の8時に既に酔っ払っているとは、家族がいるとは思えないし、一人暮らしなのだろう。

彼女に同情するとか、哀れむ気持ちとかではなく、もし彼女のようになってしまったらどうしようという
恐怖感が私の心を支配した。

歳を取って、酔っ払って迷惑を掛けるおばさんになったら・・・?
みんなに厄介者扱いされて、かわい気が全くなく、肌もボロボロで美しさの片鱗もなく、
発しているオーラは怒りだけ。

反面教師として、気をつけなればならないと思った。

***

それからしばらくして、近所の場末のゲイバーのハッピーアワーの時間帯に
ビル達に会いに行くと、あの自転車こけおばさんがひとりカウンターで飲んでいた。

ビルの友達の一人で、友達になったマルチェロに「あのおばさん、知っている!」と言うと、
「べろべろ〜に酔っ払って、助けようとすると悪態つかなかった?」
「うん、助けてあげようと思ったのに叫ばれた」
「いつも、そーなんだよ」
「常連なの?」
「うん。でも、酔うと手に負えなくなるんだよ。みんな相手にしたくないんだよね」
「レズビアン?」
「ううん、ストレートの女性だよ」

ストレートの女性・・・。
恋人も夫も家族もいなくて、ゲイバーのカウンターで1人でお酒を飲んでいる。
これって私の未来予想図!?
彼女のようにはなりたくない。

歳を取って、恋人も夫もいなくて家族もいなくてゲイバーで飲んでいても
ゲイガイズに囲まれる老女になりたいのだ。
敬遠される女だけにはなりたくない。

「私も歳を取って、彼女のようにゲイバーでくだまいて、ゲイガイズに相手にもされない
寂しいおばさんになったらどうしよう・・・」
とマルチェロに言った。
私が一番恐れていることだ。

マルチェロは私を抱き締めてこう言った。
「俺達がそうさせないよ」

ジーン。

私もマルチェロを思いきりギューーーと抱き締めた。

私にはゲイの騎士団がいる♥♥♥

そうはさせないよ!」への4件のフィードバック

  1. 結婚してようとしてなかろうと、ゲイ好きであろうとなかろうと、一緒に時間を過ごす友達が居るかどうかは、その人がいかに友達を大切にするかですよね~。

    彼女は人間不信になっちゃったのかな?

    • akiさん

      飲みたいなら1人でアパートでも飲めるので、きっと彼女は交流が欲しいのでしょうね〜。

      いかに友達を大切にするか・・・
      考えさせられる言葉です。

  2. うわっ、すごく羨ましいです。
    素敵ね、さすがNY。

    でも、ちょっとその彼女に興味があります。
    NYでどんな人生を送って、今に至るのか・・・

    私も時々、ヤクザな人生を送って野垂れ死にしちゃいたい
    とおもう時があるので・・・ 病んでますかね〈笑)

    • Coppeさん

      その女性は一見すると男らしいのでレズビアンに見えますが、
      アート関係の仕事しているような雰囲気です。
      先日は、酔っぱらいながらアパートに入っていく姿を見たので
      ちゃんと家賃を払っているようです(笑)。
      イースト・ビレッジに長く住んでいる様子です。
      仕事の鬼だけど、酔うとへべれけ〜になってしまうタイプなのではないかと。
      引き続き、調査を続けます。

      野垂れ死に・・・。
      私も共感する部分があります。

      単に道路で死ぬのではなく、熊などに食べられるのがいいかな。
      自分の死体がエサになってくれて、しかも自分の死体を心配する必要がないので。
      しかし、そういう環境に行くのが好きではないのでは無理かもしれませんが。

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