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安全。

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最近、なんだか調子が悪い・・・。
何かを食べるとすぐに胸が痛くなるし、頭も痛い。

春になると目を赤くして鼻水をたらたら流している友達を見ながら、
アレルギー体質ではない自分を自慢に思っていたが、果物を食べると胸が痛くなり、さらに呼吸が苦しくなる今日この頃。
更に、症状は悪化しているようで日本人として欠かせない醤油がクチビルに触れると、クチビルが引きつり、そしてヒリヒリする。
大豆アレルギーなのだろうか。

ところで、アレルギーについて思い起こせば、プールに入ると鼻水が止まらなくなり、息するのがいつも苦しかった。
日本でもそうだったが、ニューヨークのプールでは息が苦しくて15分もプールにいられなかった。それに、プールに入ったあと3日間は耳に水が入っているような感じがして
音がうわ〜んと反響するように聞こえてた。
息が苦しいのは私は息継ぎができなくて、泳ぎが下手なんだと思ったていたのが、
塩素アレルギーというのが判明。耳に何か詰まっているように感じるのもアレルギーの症状だと言われた。
それ以来、プールに行くのは止めた。
スポーツは不得意な私だが、それでも水泳と卓球は人並み以下でも一応できるスポーツだった。
しかし、そのひとつがアレルギーのせいでできないのは悲しい。

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物を食べるのが、恐怖になってくる。
また胸が痛くなって息苦しくなったらどうしよう。

そんな話をストレートの友達、マスターベーダーに話すと、
酷くアレルギー体質になってしまった女性が主人公の映画があるから観てみれば〜と教えてくれた。
「監督はゲイだよ!」とさらに私が観る気になる、素晴らしい言葉を付け加えてくれた。

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マスターベーダーおすすめ映画とは、トッド・ヘインズ監督の映画SAFEである。
トッド・ヘインズ監督はゲイであることを公言している。
トッド・ヘインズ監督の映画といえばFar From Heaven『エデンより彼方に』
観た事がある。この2つの映画の主人公を演じるのはジュリアン・ムーアだ。

Far From Heaven『エデンより彼方に』については書きたいこと(言いたいこと)がたくさんあるが、それはまた別の機会にしたいと思う。
ちなみに、Far From Heavenのあらすじは、1950年代の後半、コネチカット州のごく普通の白人家庭。
妻は夫が男と情事に遭遇してしまう。
当時、ゲイは病気だとされていた。治療のカイなく(!?)、夫は同性愛者のまま(ゲイは病気じゃないのだが)。
そんな中、妻は黒人の男性に心を惹かれて・・・。
黒人と白人が結婚することは連邦法で認められていなかった時代の話でもある。

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safe
アレルギーに悩まされる女性が主人公のSAFE

SAFEは映画としては単調で、つまらないと言う人が大半だと思うが、アレルギーに悩まされているから、興味深く観る事ができた。

主人公は、ジュリアン・ムーアはカリフォルニア州に住む上流家庭の主婦だ。
1987年が舞台である。
何人のメイドがいる。
前妻と夫の子供で10歳になる息子が1人。
いわゆる優雅な暮らしをしていたが、
車を運転すれば咳き込み、新しい家具が届けば具合が悪くなり、クリーニング屋さんで工事をしていたのが、痙攣を起こし倒れてしまった。

夫婦関係も悪化。
そんな体調では夫とセックスする気にもなれず、体調的にも無理だ。
夫は欲望でいっぱいだから、そんな妻に暴力はふらないまでも怒るのだった。
それに夫のコロンの匂いにもアレルギー反応が出てしまう。
かわいいそうな妻。

最初はアレルギーだとは分からず、精神的な問題だと精神科医を受診することをホーム・ドクターにすすめられる。
彼女はスポーツクラブで見たチラシで全ての症状はケミカルに対するアレルギーではないかと自ら専門医のドアを叩くのだった。

普通の生活は無理とアレルギーに悩む人々が住む砂漠の施設に行く主人公。
ケミカルなものは遠ざけて暮らす人々の集団だ。
全員でスローガンを唱えて、宗教的なカルト集団ともとれるが、アレルギーから逃げたい!アレルギーから解放されたい彼女の気持ちが分かる。

結末は、主人公が治ったとか、さらに悪くなったとか分かりやすくは終わっていない。
「未来はどうなるのだろう?」「アレルギーのない世界はあるのだろうか?」と
暗然たる不安が心に立ち込めた。

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SAFE、安全といえば食べ物ばかりではない。
経済が悪化し、新聞によれば特にEast Villageのバーでの犯罪率が上昇しているという。バックや財布の盗難である。私も気を付けているつもりだが、人間酔うと危険を察知する能力が落ちる。

食べ物もオーガニックは値段が張るし、タクシー代をケチって酔ったまま地下鉄で帰ることはできないし、映画の主人公の女性も夫がお金持ちだからこそそういう施設に入れるわけだし、家賃を払うのが精一杯の貧乏人は、全ての安全を手に入れることは不可能で、最低限の安全すら一苦労なのである。