かわいい男子を見たいがためにゲイ映画を観ようとした己の浅はかさを反省させられた。

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ゲイをテーマにした映画は大抵、悲劇的に終わる。
ストレートに差別されて虐げられ、ヘイトクライムの対象になって殺されるゲイ・・・。

私が観たゲイ映画も悲劇的で救いようがなかった。
近所のレンタル屋さんでDVDを借りて鑑賞。

Lola + Bilidikid
舞台はベルリン。
トルコからの移民のゲイとトランスジェンダーと家族。
彼らはイスラム教だ。
トルコからの移民ということでドイツ人から差別され、さらにゲイ、トランスジェンダーということでも差別され、
暴力の対象になる。

監督と監督はイスタンブール出身のトルコ人E. Kutlug Ataman。
監督自身はオープンリー・ゲイである。

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lolaandbilly
Lola + Bilidikid舞台はベルリン。イスラム教徒であるトルコからの移民の家族の真ん中の息子は性同一障害で家族から否定され離れて暮らすが、いつか女になることを夢見てショーパブで働く。高校生の末の弟はゲイである自分を自覚し、性の目覚めに苦悩する・・・。他にもキャラクターが登場し、伏線が交錯する。

***以下、ネタバレ注意!!の思いっきりあらすじである。***

ローラはトルコの移民だ。
お金を貯めて女になる手術を受けるのが夢だ。
体は男のままだが化粧をしてベリーダンスのトランスジェンダーのクラブで働く。
ローラの彼ビリーはゲイで、同じくトルコからの移民だ。
ローラが女になり、自分は夫として普通の家族を作るのが夢だ。
ビリーは、ドイツ人のゲイに公衆トイレでブロージョブをさせてお金を稼ぐ男娼を生業としている。

ローラは3人兄弟の真ん中。末の弟ムラトは高校生で、ゲイである自分に気が付いた。
クルージングスポットに出掛けるが、何もできずにいた。
長男はタクシードライバー。
真ん中の弟のことは家族の恥以外の何ものでもないと思っている。
末の弟に女を経験させよう(筆おろし)と売春婦を買うが逃げ出す。
ドイツ人(白人)のクラスメイトにゲイであることがバレてヒドい苛めを受ける。

そしてクラスメイトは仕事から帰る女装のローラにいつも嫌がらせをする。
しかし、彼らはローラがクラスメイトの兄ということは気が付いていない。

ビリーは末弟のムラトに義理の兄として忠告する。
「入れるのはとくかく穴なんだから、ゲイであることを忘れて女と結婚して普通に暮らすのが幸せなんだ。
俺だってローラが女になったら普通の家族になるんだから・・・」

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ローラは男娼を続けるビリーが生活力がないことに嫌気が差し、別れる決意をする。
それからローラが行方不明になり、数日後、川にローラの死体で浮かんでいた。
ビリーはあのドイツ人の高校生達が殺したに違いないと確信する。
ムラトは兄(姉)を殺したのが同級生だということを知る。

ビリーは「俺はこのまま黙っていない!ストレートとゲイの戦争だ!俺は復讐をする!」
ウエスト・サイド・ストリーを彷彿させる。

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Lola + Bilidikidの結末は悲劇的で救いようがないゲイ映画だった。
しかし、私はこれまで観たゲイ映画にはない力強さをこの映画に見て、感動すら覚えた。
弱々しいゲイがストレートに殴られ、虐げられるだけでなかった。

ストレートの不当な暴力に対して反撃したのだ。
ストレートの男を殴り、刺した!
反撃した男はビリーだ。
人間のカスと言われても仕方がない、ヒモで男娼のビリー。
暴力的な描写だった。
ビリーがスーパーマンのような悪を倒すヒーローに見えた。
ストレートを徹底的にやっつける格好良かった。
しかし、悪は悪である。
ストレートの白人男は銃を持っていて、ビリーに発射する・・・。

監督が反撃するゲイにビリー・ザ・キッドという名前をつけたのは、監督の願いを託したような気がする。
無法者の型破りなゲイの姿だ。

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ローラを殺した犯人が映画の結末で明らかになる。
実は、ドイツ人の高校生達ではなかった・・・。

母親が真実を知った後、イスラム教徒の女性が着けなければならない髪の毛を隠す、
スカーフを道路に投げ捨てた。
そのシーンだけで説明する言葉はいらないだろう。

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ゲイ映画といえば、いつもやられっ放しだったから、ビリーの反撃に手に汗を握り、彼の闘争心に感動した一作であったが、
結末は悲劇でやるせなく、胸が苦しくなった。

ゲイの問題だけでなく、移民・差別・宗教・貧困とこの世界で我々が抱える問題を定義し、
見応えのある作品だった。
かわいい男子を見たいがためにゲイ映画を観ようとした己の浅はかさを反省させられた。

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上記のジャケット(裸の男がベットで寝転んでいる)で選んだのは隠しようもない事実であ〜る(笑)。