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パレスチナ人のゲイとユダヤ人のゲイ

wkennewyear

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初春ゲイバーは、クリスと一緒にチェルシー・ホテル地下にあるスター・ラウンジに行こうということになった。
チェルシー・ホテルとはゲイ地区としても有名なチェルシー(Chelsea)は23ストリートにあり、
セックス・ピストルズのシドが恋人ナンシーを刺殺したと言われていることでも
有名なホテルだし、かつては長期滞在者のための居住用部屋もあり、
有名作家や映画監督が住んでいたことでも有名である。

O・ヘンリー、ウィリアム・バロウズ、アーサー・C・クラーク、スタンリー・キューブリックなど名を連ねる人々は
超一流であ〜る。英語版ウィキペディアをどうぞ。

ちなみに宿泊料は手頃な価格だ。
それに相部屋(寮スタイル)の部屋もある。

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そのチェルシー・ホテルの地下にスター・ラウンジというクラブがある。
金曜日がゲイナイトとして人気なのである。
他の曜日はストレートの人々のクラブである。
噂は耳にしていたので、とうとう私も行ける!
まさに新春にふさわしい今年第一号のゲイバーだ!とワクワク胸をときめかせる。

人気な証拠に入るまでに長い列だった。
列があるとワクワクしてしまうのは流行り好きな日本人魂のためか(笑)?
私が先に着いたので列に入って待っていた。
すると、私の前で待っている青年が話し掛けて来た。

「ひとりで来たの?」
リップグロスを塗ってクチビルがキラキラしている。

「ううん。友達を待っているんだけど、まだなのよね。あなたは?」
「ボクの友達は既に中にいて、ボクを待っている」
「そうなんだ。きっと私の友達はセックスしてるのよ」
と冗談のつもりで言ったが無視された(悲)。

彼の英語にアクセントがあるから、「どこの出身?」と質問してみた。
「パレスチナだよ」
「ええええ〜!!」
驚いた。
「今、大変だね。家族は大丈夫?」
「うん。大丈夫」
「それは良かったけど、でも・・・」
「いつか平和が来るようにボクは祈っているけど・・・」
私もそう祈っていると言ったが、実際どう言っていいか困ってしまった。

パレスチナ人のゲイとイスラエル人のゲイの悲恋物語Bubbleについて話したが、
彼は観てないと言った。
拙ブログでも紹介している。

パレスチナ人の彼が私に教えてくれた名前はアメリカ人の名前であった。
イスラム系の名前ではアメリカでは生活し難いのかもしれないが、本当の名前を使わないのは悲しい。
また中国人や韓国人もアメリカの名前を名乗る場合が多々ある。
アメリカ人にとって発音が難しいからという理由だと聞いたことが、
アメリカ人のために名前を変更する必要はないと思う。
アメリカの名前に変えることはアイデンティティーを無くしてしまうような気がする。
親からもらった名前であり、自分の国の文化そのものが名前だと思う。

それからたわいもない世間話をして、彼の番になった。
バウンサー(バーの前でチェックする人)が彼に「何人?」と質問すると彼は「2人」と答えた。
するとバウンサーの男性は直ぐに私たちを入れてくれた。

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スター・ラウンジはゲイメンでぎゅうぎゅう詰めの状態だった。
中に入ると、クリスから「外で列に入ったよ」とテキストが送られて来た。
あと少し、あと少し、あと少しでで入れるとテキストが来たが一向に彼が来ない。
私は痺れを切らせて外に出るとクリスが列の中にいた。
既に40分経過していた。
もう深夜0時だ。

「後から来たグループは入れて、ボクのことは入れてくないんだよ。他の所に行こうよ」とクリス。

Splashの土曜日は「イケていない」と入店拒否をされると聞いたことがあるが、
スター・ラウンジもそうなのか??

クリスの名誉のために言おう。
クリスは醜男ではない、ハンサムだ。
その証拠にルームメイト氏にクリスの写真を送ったら「かわいいぃ〜」と返事が来た。
なぜバウンサーが入れてくれなかったのか?
彼の好みではなかったからか?
不明だ。
ファッションだろうか?
クリスは普通の格好だった。
おしゃれをしてはいなかった。
だから??

私の場合、パレスチナ人の彼がハンサムだったから、彼のお友達と思われたから、入れてくれたのだと思う。
女一人だったら入店拒否だったかもしれない。
何度も言うが、クリスはハンサムである。

ストレートのクラブでも、パリス・ヒルトンやビヨンセのようなセクシーなファッションに身を包んでいる
女性は列に並ばなくてもバウンサーが直ぐに入店させるのを見たことがある。
クラブは商売なので、Hotな客を客寄せパンダにしなくてはいけないからだと思うが、
それにしても、こういう場合、「人間見た目」なのである。

***

クリスが今夜は踊りたい気分だからとゲイ・バーではなく、ゲイ・ダンス・クラブに行った。
「メグミと会う時って、いつも激しく酔っているから、もしかして酔っていないメグミに会うの初めてかもしれないね」と言われて赤面。

「今夜は酔っていない私を見せておこうと思って素面で来たのよ」。
「ハハハハ〜」

次の場所では、彼の友達が既にいて、紹介してもらった。
一挙に5人のゲイ友が増えた。
そしてクリスがかつてデートした相手が友達と来ていて、私に紹介してくれる。
2人増えて、7人のゲイの知り合いができた!!
このままいけば、目標の100人到達は3月までにはできそうな勢いだ。

その1人のゲイガイズにユダヤ人がいた。
アダムくんという。
私が日本人だと言うと、「ユダヤ人男と日本人女性で結婚カップルって多いよね〜。ユダヤ人は日本人が好きなんだよ〜。ボクもユダヤ人だから日本人好きだよ〜」と彼が言ったのである。

ニューヨークはユダヤ人の街でもある。
私が知る限り日本人女性とユダヤ人カップルは多い、本当に多い。
話は飛ぶがルームメイト氏もユダヤ人の夫を持つのが夢である。
高学歴で専門職に就き、高収入という定評があるからである。

ゲイのユダヤ人に会ったのは初めてであった。
さっき、チェルシー・ホテルの列でパレスチナ人のゲイマンに会ったことを話す。
そして映画Bubbleについても言及すると、アダムくんも観ていた。
「涙が止まらなかったよ〜」とアダムくん。
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ジャスティンと一緒にチェルシー・ホテルの並びにあるチェルシー・シネマで観たのだ。

クリス、クリスの友達7人計8人のゲイガイスと初春踊りまくり。
私は痛めた足首に気を使ってスニーカーを履いていた。
クリスに「足下を見ないで〜」と理由を話す。
思いっきり、スニーカーだったので受けた(笑)。

クリスは私が側にいないときょろきょろして私を探してくれる。
その気の使い方にジーンと感動。
「見捨てたりしないから大丈夫だよ。ボクの頭に天使の輪が見えるでしょう!」と言ってくれた。

***

今年2009年の初のゲイバー巡りは、呑んだくれることもなく、怪我もなく無事に済んだ。
不況だが、呑んで踊りまくって騒げる。
平和だ。
しかし、この地球上には健康にも関わらず明日の命さえ分からない人々がいる。

一夜にパレスチナ人とユダヤ人のゲイに出会う。

私は縁起を担いだり、占いを真剣に信じたりしないタイプの人間だ。
ホラー映画は大大大好きだが、霊魂や幽霊は全く信じてはいない。

ニューヨークだから出会ったのだと超現実的に考えたが、
「なにか」があるのかもしれないとも思った。

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今夜のニュースでも爆撃や負傷した血だらけの大人や赤ちゃんの映像が報道されていた。