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また女を騙して結婚すればいいだろう・・・

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電話が掛かってこなかったので、メールを書いた。

『カールくんのことは男性として好きではないし、
赤ちゃんを持った女友達の助言からシングルマザーはとっても大変だって
聞いたから、最近よく会っているカールくんがいいかなぁとふと思っただけで
真剣には考えてはいません。そこまで落ち込まないでください』

しかし、ルームメイト氏からメールの返事はなかった。
これで彼が怒ったまま音信が途絶えても仕方がないと思った。
それまでの関係だったのだ。

次の日、ルームメイト氏からメールが来た。

『この写真を偶然に見つけました。メグミとシェアしたくて送りました。
この後しばらくして、父ががんで亡くなりました。家族全員で最後に撮った写真です。
写真を見て悲しいけれど涙は出ませんでした・・・』

それはルームメイト氏の結婚式の時の写真だった。
カリフォルニアのブルースカイが眩しく、彼の両親とお姉さんとそして韓国系アメリカ人の
元妻が色とりどりの花に囲まれて、みんな幸せそうに一緒に写っている「家族写真」だ。

ルームメイト氏はこの写真を私に見せて私にどう思えと言うのだろう。

同情して、彼の子供を産むように努力して欲しいと思っているのだろうか?
前妻との間に子供ができなかったのは彼の問題であって、同情する気持ちはあったが
私の問題ではない。

元妻への罪悪感に関する話は、何度も何度も同じことを聞かされる身としても辛い。
「またかぁ~」と思いたくもなる。
そこまで彼を苦しめていることだと分かっていても、また持ち出されてどう返答していいか非常に困る。
妻のことを考えると胸の奥がひりひりどころか、痛くて重くなる。

ゲイであることを隠して結婚した罪の意識。
時間とルームメイト自身がゲイマンとして幸せになることで薄まることだとは思う。

男として私が望むような幸せを与えられないと明言したのにもかかわらず、
子供の話になると自分の思いを一方的に押し付けてくる。

また女を騙して結婚すればいいだろうと私は思った。
ルームメイト氏への嫌悪感が増大しいく。

(つづく)