ルームメイト氏の秘密

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好きだったルームメイト氏への気持ちを一生懸命消そうと必死になったのは、
彼が必死になって恋人・将来の夫を探しを始めたからだ。
不安になった。
自分が捨てられてしまうのではないかと思ったのだ。

ストレート男性へ恋心を抱くことで、ルームメイト氏への気持ちが中和し、平常心で彼と
メールやテキストや電話で話すことができるようになった今、気が付いた。
彼の私への態度は一環して同じであること。
恋愛感情を抱いてはくれないが、大切な一人の人間として扱ってくれていることにだ。
そして、私が連絡を取らなくなったり、好きでいることを止めたいと言い出した時、
ルームメイト氏は「私も去っていくのではないか」と不安にかられたらしい。

ジャスティンは電話で「ルームメイト氏はゲイだけど、女性が必要なんだよ」と私に言った。
ルームメイト氏に会う前に、私はジャスティンから、ジャスティンのルームメイトであるルームメイト氏のことを聞いていた。

かつて女性と結婚してたゲイであることを。

***

去年の夏、ジャスティンに出会った時に、LAでどんな生活をしているのか、そんな話になった時に、
ルームメイトの話が出た。

ルームメイトは女性と結婚していたゲイで、現在は奥さんとは離婚して、オフィシャルにゲイとして生きていること。
元妻は韓国系アメリカ人であることも教えてくれた。
「真実のBROKEBACK MOUNTAINS『ブロークバック・マウンテン』だね〜」と興味津々で話を聞いた。

そして本物のルームメイト氏に会った時に、ハンサムな彼の姿に一目惚れしたが、私がさらに彼に惹かれたのは
同情であったかもしれない。

ジャスティンが忙しく、ルームメイト氏と一緒に過ごす時間が多かったとは以前も書いたが、
二人で過ごす時に彼は結婚式の写真を見せてくれた。
それは一冊の写真集のように立派に装丁されていた。

純白のウェディングドレスに身を包む花嫁よりも美しいルームメイト氏に心を奪われ、いつまでもいつまでも
タキシード姿のブルーアイのルームメイトを見ていたい気分になった。

泣きそうな顔で私に結婚式の写真集を見せてくれた後に、結婚している時に付き合っていた彼からの手紙をしまっているという段ボール箱をクローゼットから出して、蓋を開いて見せてくれた。
手紙がびっしり詰められていた。
その中から一通の手紙を取り出し、彼からのラヴレターを読んで聞かせてくれた。
熱烈な愛の言葉である。

ボーイフレンドがいることが妻の知ることとなり、ルームメイト氏が寝ている間に妻は出て行った。
ゲイなのである。
妻がいても男に惹かれるのである。
ゲイとして自分にも家族にも世間にも正直に生きられると思った矢先、ボーイフレンドからも振られた。

ラヴレターも結婚式の写真集もどちらも捨てられずにいると言っていた。
離婚と振られた時がほぼ同時期で、ルームメイト氏の時はそこで止まっているように感じた。

同情した。
かわいそうだと思った。
抱き締めてあげるしかできなかったが、
私が何かしてあげたいと思った。

***

ルームメイト氏とLAで出会った後、久しぶりの里帰りをした。数日後、兄が突然死し、私は世界でたったひとりぼっちのような孤独感に苛まされて、胸が締め付けられるという心の動きが胸の筋肉を収縮させることを知った。
これが肉親を失う悲しみなのだと身を以て学んだ。

ルームメイト氏は妻と離婚して、彼氏に振られた後、鬱になったとメールで書いて来た。
そして抗鬱剤をつい最近まで服用していたことも教えてくれた。
ルームメイト氏とどんなに辛かったか、どんなに悲しかったかをお互いの経験を言うことで、
悲しみを共有し、癒されたと思う。

結婚生活の数年間、妻との間には子供ができなかった。
検査した結果、ルームメイト氏に問題があることが判明。
その直後にルームメイト氏の父親がガンで急逝し、そして妻には彼氏がいる事がバレてゲイであることが発覚。

ルームメイト氏は「普通の生活」に憧れたが、ことごとく夢は散っていた・・・。
結婚してゲイであることを自覚したのではなく、ゲイであることを知って妻と結婚した。
「普通になりたくて・・・」。

私も普通の妊娠は無理な体ということは知っていたし、生殖機能が優れない人間でも家族を持てる夢が
叶うかもしれない現代の医学ならば、ルームメイト氏も私も諦めていた親になれるかもしれない。
一緒に「普通の夢」を叶えられるかもしれないと思った。

これが映画ならば、私のお腹が大きくなっているところでエンディングになるのだが、
人生はハリウッド映画のようにはうまくいかない。
感情がある。

***

彼の妻は、離婚後、LAの反対側である東海岸のある都市に引っ越した。
ルームメイト氏を完全に消すために、友人も知り合いも全くいない街に行ったのだ。
元妻の傷心と決意が伺える事実だ。
元夫であるルームメイト氏とはずっと音信不通である。

ルームメイト氏の「普通の生活への憧れ」も分かる。
それに利用された「妻」のやり切れない気持ちも分かる。
罪悪感と絶望とで鬱になってしまったルームメイト氏も切ない。
私はそんなルームメイト氏の全てを包もうと思ったが、無理だった。
私も愛されたいという欲が出た。

しかし、包むことは出来なくても、気持ちをシェアできる貴重な友達であると思う。
そして、私が去らずに、今でも連絡をしていることにルームメイト氏は安心している、と
ジャスティンが教えてくれた。

ルームメイト氏の秘密」への6件のフィードバック

  1. トン子さん

    その通りです。
    人間は欲の塊です!
    好きになるってうきうき楽しい時もあるけど、独占欲も嫉妬も
    現れて、考えが偏狭になって苦しみます。普通の恋がしたい!

    ところで、トン子さんの方は、いかがですか?
    新しい恋は?
    素敵な夏の出会いはありましたか?

  2. 水無月さん

    女性と結婚していたゲイメンというのも魅力的に思えました。
    でも、女性を騙しているということでは酷い人だと思いつつ、
    でも人並みになりたいという気持ちも理解できて、かつ顔は私のタイプだし、好き好き〜になってしまいました(笑)。

  3. momoたん

    ジャスティンとルームメイト氏は仲良しになりました。
    ジャスティンが時々お家に遊びに行って一緒にDVD観ているらしいです。その時は二人からテキスト攻撃があります(笑)。
    心配してくださってありがとう(感涙)!!

  4. 恵さんお久しぶりです!
    ルームメイト氏にそんなツライ過去があったなんて。。。そしてそれを恵さんも知っていたんですね。
    でも人間は欲の塊ですよね。スキになればなるほど独占欲が沸いてくるもので、恵さんの気持ちよくわかります。でも女も必要なゲイっていう時点でやっぱりルームメイト氏はいろんな意味で恵さんの運命の人であり、恵さんはルームメイト氏にとって運命の人なんではないでしょうか?
    どういう形であれ、これからも末永く一生にそうそうめぐり合うことのできない大切な出会いを大事にしていってくださいね~^^!!

  5. 恵さん、こんにちは。
    ルームメイト氏にはそんな過去があったのですね・・・。
    恵さんがあの短いLA滞在期間に急激にルームメイト氏に惹かれたのも、
    ルームメイト氏が恵さんとの間に子供を持ちたいと思ったことも
    なんかわかります。
    恵さんが最後に素敵な言葉で書かれてるように、
    「気持ちをシェアできる」友情がこれからも続くといいですね。

  6. 以前めぐたんが「私もゲイに生まれたかった」って言ったらルームメイト氏に「普通が一番いいのよ」って言われてましたね。ルームメイト氏の心の葛藤、そして普通であることにほんとに努めてたんですね。悲しみの心を持った二人が出会ったのもまた縁で、人には心があるからそううまくはいかないけど、そんな二人は素敵な友情を築けるんじゃないかな~と思います。また、喧嘩別れみたいになってたジャスティンとルームメイト氏も連絡を取ってるようで安心しました。(って、私が安心してもね(笑))

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