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眠れない夜。

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講談社パブリからDeeeeep!New York!のケータイ版が発売されました!
発売日:12月14日(金曜日)3部構成で1部300円!
女の子が楽しめるセクシャルなニューヨークのエンタテイメントを紹介するコラムが今度はケータイで登場!!
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ずっとルームメイト氏に筋腫と内膜症が発生し、手術する可能性があるかもしれない!という不安を言えずにいた。
「電話ください」というテキストは送っていたが、「今日は忙しくて電話できなくてごめんなさい」という返事ばかりで、今は私のことよりも新しいお家のことで頭がいっぱいなのだと思った。
それとも他の男!?
そう新しいお家にジャスティンの他にもう一人のゲイ、ハウスメイトが住むことになったと言っていたし、
「彼はとってもかわいい25歳の南部のゲイよ〜!」とルームメイト氏がうきうきしてながら言っていた。

遠くにいる女よりも身近にいるゲイに注意を払ってしまうのは考えなくても誰も分かる。
明白だ。
彼がどこまで真剣に子供を持つことを考えているのかも疑問に思えてきた。

頼ろうとするから、相手が答えてくれないと怒るのだ。
だから、最初から頼る気持ちなんぞ持ってはいけなのだ、と自分に何度も言い聞かせる。

***

ストレートの男友達、モテないマスターベーダーとディナーをした。
「手術するかもしれないけど、誰も世話してくれる人がいない。父親になるゲイはLAだし遠いし、来ないって言うに違いないし、不安で押しつぶされそう・・・」と今の心境を語った。
「俺が手術、付き添って、面倒見てあげるよ」
「ええええ〜? 本当?」

涙がつるつると流れた。
遠くにいる愛するゲイより、近くにいるストレートの男友達ということか?

「それぐらいできるよ。それからさ、もし子供が産まれたら、世話するのも手伝うよ」

「えええ〜?」

「何も知らないLAに行って飽きられて捨てられたら、どうするんだよ。
俺はゲイの友達もいるし、ホモフォビアじゃないけど、父親が男連れ込んでセックスしている環境で
安心して子供を育てられると思っているのか? 
最初は珍しくて一緒に暮らすだろうけど、お互い飽きるよ。絶対に!
口だけだよ。
いざとなったら責任取らないよ。言うのは誰でも出来るけど、実行に移すのは大変だよ。
それも相手のことも良く分かっていないのに決めたんだろう? 
だったら、まだランダムに精子を選んだ方がいいよ。
ニューヨークで育てた方がいい。キミの基盤はLAじゃない。ニューヨークだよ。俺が手伝うから・・・」

「マスターベーダーは生物学的に父親じゃなくても子育てを手伝ってくれるの?」
「うん。子供は好きだし、将来、養子をもらいたいと思っているけど、自分の遺伝子は残したくないんだよね。
キミからどんな子供が生まれるか見てみたいよ」

マスターベーダーは、自他ともにモテないが、子供の頃から勉強が得意でアメリカの理科系の大学で
最高峰の大学を卒業した秀才の男性だ。その後、大学院にも進んでいる。

彼の遺伝子を受け継いだ子供が生まれたら、勉強が出来る自慢の子供になるかもしれない。
しかし、彼は生き方が不器用なため「勉強はできたが、だから何?」と常々思っているという。

勉強ができるよりは、女は見た目がかわいい方がいいし、男もハンサムの方が人生得をすると思っているのが、
マスターベーダーである。
余程、何か悲しいことがあったのか。

ゲイの精子で妊娠して、出産して、ストレートの男と子育てするということになるのか。
それとも秀才なマスターベーダーの精子で!?

でも、ルームメイト氏との間に子供が欲しい。
でも、遠い。
こんなに心細い時に電話の一本も掛けてはきてくれない。

***

その夜、ルームメイト氏からテキストが送られてきた。
私はひとつ前のテキストの返事を書かなかった。
無視した。

「おやすみ!おやすみ!スウィティー!私のこと怒らないでね」

1時間、考えた。
ブログに書き込んでいただいた皆さんからのそれぞれのコメントを何度も読んだ。
辛いのは言わないと相手には分からない。
「私、辛いの、ねぇ〜、ねぇ〜、分かって〜」とテキストの雰囲気で推察して、心配してよ〜と
要求している私が間違っている。言わないと分からないものだ。

「本当は口頭で言いたかったけど・・・、テキストで送ります。子宮に腫瘍があること、もしかして手術があるかもしれません。体外受精の専門医にも診察に行きます。それで診断されますが、不安です。心が痛いです。
・・・今から寝ます。おやすみなさい」と、今夜は電話を掛けてこないでを暗喩し、テキストで送った。

送信ボタンを押したら、不思議と気分が落ち着いた。
彼の対応は私のシナリオ通りにならず、悲しい結果になるかもしれない。
しかし、「事実」を告げないとルームメイト氏は私の心細さも事の重大さも分かってはもらえないことに
私がやっと気がついたのだ。

マスターベーダーの真摯なサポートの申し出が私を強くしたのも事実だ。
現金だと言われようが、マスターベーダーのオファーは私を心丈夫にしてくれた。

***

ケータイが鳴り、はっと目が覚めた。
受信の表示を見るとジャスティンからだった。

「メグミィ〜〜〜」とジャスティンが電話の向こうで叫んでいる。

「ジャスティ〜〜ン。どうしたの?」
「寝てたよね? ごめん、起こしちゃったね」
「今、何時?」
「こっちは零時30分。そっちは3時30分だよ」
「どうしたの?」
「今夜、ルームメイト氏と大げんかして家を出て来た」
「ええええ〜? どににいるの?」
「友達の車の中だよ」
「どうしたの?一体?」
「仕事で疲れていたから、俺も態度悪かったとは思うけど、ルームメイト氏さ、家のことでかなりストレスが溜まっているらしくて、恐ろしく、イライラしていてさぁ〜。喧嘩だよ。出て行け〜と言われたから出て来た・・・」

「え〜? そうなの? 殴り合い? 口喧嘩?」
「口喧嘩。最近、家のことでかなりストレスらしいんだよね〜」
「実は、さっき、ルームメイト氏にさらにストレスを与えるようなテキストを送ったかもしれない・・・」
「何て書いたんだよ。相当、機嫌が悪かったよ」
「それは、そのー、あのー」
「言いたくないならいいよ。それにしても俺のことを子供ぽっいって批判してさぁ〜。」

私のメールはジャスティンと大げんかするくらいルームメイト氏に更なるストレスを与えたのだろうか。
・・・ということは、私のことを気にかけてくれているということなのだろうか?
ジャスティンとしばらく話をした後、そのまま眠れず朝を迎えてしまった。

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