過去の引出しが開かれ、現在とつながる。

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講談社パブリからDeeeeep!New York!のケータイ版が発売されました!
発売日:12月14日(金曜日)3部構成で1部300円!
女の子が楽しめるセクシャルなニューヨークのエンタテイメントを紹介するコラムが今度はケータイで登場!!
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***

フミオは日本に帰国後、東京で働き始めて、二丁目に行ったのは外人が来るゲイバーに数回だけ。
だから、どこのお店がいいのか全く知らないと言う。

使えない。

本人を前にして言うと、喧嘩になるから言わなかった。

私も使えない。

通っていたのは遥か昔だし、バーの名前も場所も思い出せない。
バーテンダーのお兄さんの顔だけは覚えている。

フミオはタクシーの運転手に「二丁目まで」と行き先を告げて、
「ねぇ、運転手さん、二丁目のバーでどこかいいところ知らない?」
と質問をした。

運転手さんは「う〜ん。知りませんねぇ〜」。

「二丁目のことを知らなくてよくも東京のタクシーの運転手が勤まるわぇ〜」とからむ。
フミオは酔っている。
「まぁ、まぁ」と私がなだめる。

二丁目!二丁目!二丁目!
と胸が高鳴る。
フミオも声のトーンが一段と高くなっているので彼も興奮しているのが分かる。

○I○Iのメンズ館の前を通る。
過去の記憶の引出しがひとつ開いた。
二丁目の目印といえば、○I○Iのメンズ館だった。

「じゃ、ここがメインストリートですから」
とタクシーが止まる。
料金は710円。
もっと遠かったような気がしたが、新宿西口から初乗りで来れる距離だ。

フミオは「ここは来たことあるぅ〜。外人がいっぱいなのよ」と教えてくれたバーがすぐ近くにあったが閉まったいた。

二丁目に来るなんて思ってもいなかったので何の準備もしていなかった。
ゲイメン・ドラマQAFで登場するダイナーのようなお店を二丁目にもと同名のお店リバティー・カフェがあり、
行きたいとは思っていたが、住所をメモっていなかった。

しかし、私には心強い味方があった。

1月に渋谷のとあるバーで知り合ったトランスセクシャルのお姉さんからゲイ雑誌を買いたければ、
二丁目にある本屋さんルミエールに行くといいわとの言葉だけはしかっと胸にしまっていた。
忘れないようにまるでお題目のように「ルミエール、ルミエール、ルミエール」と日々と唱えていた。
きっと本屋さんなら、ホットでクールなゲイバーをいろいろ教えてくれるだろうと思った。
まずはルミエールだ。

フミオに聞くが、行ったことはあるが、場所は覚えていないという。
フミオは方向音痴なのだ。

ポルノ・ストアがあった。
「じゃ、そこで聞いて来るから待ってて」

慣れというものは凄いと自分のことをだが言わざるを得ない。
ゲイのポルノ・ストアに躊躇なく入られるようにチェルシーのストア以来、慣れてしまった。

「え〜!!!多分、そこよ。女友達と行ったら、女はダメですって追い出されちゃったのよ。とってもカンジ悪んだから。
だから、メグミさんも追い出されちゃうわよ」

「大丈夫、大丈夫。女はダメって言われたら、『あたし、トランスセクシャルですけど』って言えばいいのよ」
と声を低めにして肩を動かし、フミオを上目遣いで見た。

ニューヨークでもサンフランシスコでもロスアンゼルスでも初めて行くゲイバーで女を理由に断られたら、
「元男です!トランスジェンダーです」と言おうと決めていたし、ジャスティンにもそう行って援護射撃をお願いしていた。

これまでの所、一度も女を理由にゲイバー入店を断れたことはないし、その言い訳も使う機会はなかった。
とうとう、二丁目でお披露目か。

「え〜〜!? メグミさん、トランスセクシャルには見えないよぉ〜。女だよぉ〜。ダメだよぉ〜」。

私がトランスセクシャルと主張したら、大抵のトランスセクシャルは美しいので疑問に思われるだろうが、
外人にとってアジア人の美醜はよく分からないというのが真実なので、私でもトランスセクシャルと言ったら納得してくれるであろうという自信があった。

しかし、日本人の目にはバレバレだろうか、と不安になる。
でも、ここで怖じ気づいていてはけない。
引き返すなんてとんでもない。
私は二丁目の、それもメインストリートに来ているのだから。
外見は変えられても骨格は変えられない。首の太さ、手の大きさで分かってしまうのだ。
じゃ、首を隠し、手を見せなければいいのだ。

ゲイ・ポルノ・ストアに入る。

「女は出て行けぇ〜」と一喝される覚悟で店員のお兄さんに話しかける。
そして超厭味な台詞と知ってもコレは効果的じゃないかと思われる単語を開口一番に言った。
「あの〜、ニューヨークから来て全然、分からなくて、教えて欲しいんですけど、ルミエールっていう本屋さんはどこですか?」

お兄さんは笑顔で教えてくれた。
「そこですよ!」

ニューヨークが効いたのか?
私がトランスセクシャルに見えたのか(笑)?

ルミエールは本当にすぐそこだった。

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忘れないように毎日唱えていたルミエール。

「今度はルミエールで聞いてくるから待っていて」とフミオに言う。
女人禁制と言われたらの恐怖が再び襲ってくるが、言われたら「私は元男です!」とトランスセクシャルのふりをすればいいのだと自分に言い聞かせながら、お店に入る。

レジにいる店員のお兄さんに聞く。

「女性が入店OKなお店を教えてください。あのぉ〜、トランスセクシャルとかドラッグ・クィーンではなくて、
男のゲイが来るバーなんですけど・・・」

私が行きたいバーは、ゲイメンが集っているところなのだ。

ちょっと面倒臭そうではあったが、かわいい顔の店員のお兄さんが教えてくれた。
教えてくれた通り、道を曲がるとそのお店の看板が見えた。
雑居ビルの2階にある。

過去の記憶の引出しがもうひとつ開いた。
そうそう、二丁目のゲイバーといえば、この雑居ビルの感じなのだ。

「こんな大きなドアがドーンとあって怖いわ。高いんじゃないの。絶対、安くないわ!値段、聞いた?」

お店のドアは重厚だ。そういうドアのお店がズラッと並ぶ。
スナックやクラブ(ホテステスがいる方の)のあのドアだ。
しかし、高級なドアばかりではなく色が褪せていたり、ペンキが剥げているドアもあり、
緊張が緩む。

「ごめ〜ん。値段は聞かなかった。でも、お店で聞くから、大丈夫!大丈夫」

***

ドアを開けると、真っ赤な絨毯とカウンターとソファとテーブル席が見えた。
お客さんはまばらだった。

「あのぉ〜、女性でも飲めると聞いて来たんですけど」
と言うと散髪したばかり感を醸し出しているおじさんが対応に出て来た。
歳の頃は50歳。痩せている。折り目正しい服の着方をする男性だ。

「そうだけど。ここはどういう所か知っているの?」
「はい。ゲイバーですよね」
「ひとりで来たの?」
「いいえ、外にゲイの友達がいますけど」
「どれぇ〜?」
と私の連れを見たかったのだろう、おじさんはフミオがいる外にドアから半分身を乗り出した。

「どれくらいなんですか?」
「うちは席に座って、五千円だけど」
「高いわねぇ〜」とフミオ。
「あんたち、予算はどれくらい?お金ないの?」
「はい、貧乏なんです」
「うちの前にあるとこは、安く飲ませてくれるらしいわよ。私は知らないけど行ってみれば」

***

目は笑うことはなさそうな冷酷そうなおじさんだったが、安いバーがあるはずと教えてくれたのは感謝だ。

「座るだけで五千円は高いよね〜。スナックみたいだったね〜」
「でもぉ〜、安いっては言っていたけど、大きなドアのお店しかないわよ。中が見えないくて不安よぉ〜。
ニューヨークは外から丸見えなのにねぇ〜」
とフミオは外界を遮断するかのような大きくて重厚のドアにびびっていた。

「大丈夫!任せてよ!また私が聞いてくるから」とフミオに言う。

今夜は不安がるフミオを安心させる役目を担っているようだ。
私に度胸があるのではなく、やはり、むかしぃ〜、むかしぃ〜ではあるが、かつて通っていた場所という安心感、
それに話す言葉が日本語という母国語のバックアップがあるからだ。

***

えいっとドアを開けて店内に入る。

バーカウンターがあって中には数人のバーテンダーがいて、お客さんも結構いた。
「ココは女性でも大丈夫ですか?システムは?」
「はい、大丈夫ですよ。それにショットバーなんで飲み物の値段だけで・・・」

バーテンダーのお兄さんは物腰は柔らかいが、オネエ言葉をしゃべっていない(好感!!)
飲み物の値段だけでOK! アメリカ的だ!
外にいるフミオに説明して店内に入る。
席料もカバーチャージもないと知ってフミオは大喜び!

ビールを注文してバーカンターに座る。
ビール1杯600円。
チップはいらない。
嗚呼、安い!

訳が分からず連れていってもらっていた二丁目だったが、あれから十数年の月日が経ち、
GAY MAN INSIDE ME(GMIM)と己を分析するように至り、好きな男はゲイの白人男性という状況で
二丁目のゲイバーで、日本人のゲイガイズに囲まれて飲む!!

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過去の引出しが開かれ、現在とつながる。」への2件のフィードバック

  1. momoたま

    二丁目で飲みたい!日本のゲイメンに囲まれたい一心で
    頑張りました!

    マリーナさんは筋肉質そうだし、たくましいので、抱かれたいという気持ちは私も分かります。

  2. めぐたんたくましい!!フミオ~、もっとがんばってくれよ!!
    私も全く持ってめぐたんタイプです。自己分析では単なるストレートですが、マリーナさんがもし目の前に来たら、多分バイになれます(笑)。

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