強くなる女。負けない女。傲慢な女。

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菊楽 恵著
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インターネットが使えるようになった!

***

アパートの管理人のことを英語ではスーパーと言う。
私の住むアパートに新しい管理人が来た。
歳の頃55歳。スラブ系、肥満。酒好きと分る赤ら顔。
多分、ポーランド人だと思われる。雰囲気でそう思う。
前の管理人もポーランド人だったし、建物のオーナーがポーランド人だから、何かのコネクションがあるのだと思う。
イースト・ビレッジにはポーランド、ウクライナからの移民が多く住む。
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月曜日は夕方まで雨が降っていた。

月曜日の午後。

用事があって彼の携帯に電話したのだが、新しい管理人は英語があまりしゃべれない。
さっぱり言っていることが分らない。
しかし、そう言うふうに言うことは極力避けたいと常々思っている。
私も亜米利加人に時々「何言っているか分らない」と言われることがあるからだ。
言われる度に傷つく。
アイビーリーグに入れる学力はなくとも、なんちゃって英文科卒だけれども、人に分るくらいの英語はしゃべれるつもりだから、それなりのプライドがあって傷つくのだ。あ〜、まだまだ英語道は険しい。

管理人の英語は本当に分らなかったし、私のヒアリングの問題ではないのは明らかだ。
彼の英語力が問題だ。
私が何度も何度も「もう一回言ってください」と言ったからだろう、彼は電話をぶち切ってしまった。

ちょっと急を要することなのでアパートを所有している会社に電話をする。
亜米利加人の女性が出た。
私はスーパーにして欲しいことを彼女に伝えた。
彼の英語が分らないから電話したことも言った。
私も外国人なのでお互い英語が得意じゃないからと私は彼の英語力のせいにはしなかった。
彼女がスーパーに電話してくれるという。

***

30分後、ドアがノックされた。
開けると件のスーパーがいきなり怒鳴ってきた。

「イマ、ホカノシゴトトモシテ、イマ、ペンキヌッテ、シンゾーワルイノニキテヤッタ、トオクカラキタ、オマエ、カイシャ、デンワシタナ」と。

もちろん、英語で言ったのだが、臨場感を表現するためにカタカナ表記の日本語にしてみた。
漢字で書くと読みやすくなるだろう。
「今、他の仕事もして、ペンキ塗って、心臓悪いのに、遠くから来た、おまえ、会社に電話したな」

真っ赤な顔で汗をかいている。
たとたどしくも電話よりは理解できた。
見える前歯が金歯だ。ピィカァ〜!

この場面が日本であったら「それはそれは大変ですね〜。お体悪いのに、すみませんね〜」
とねぎらいの言葉をかけるだろう。いくら相手に怒鳴られても。

「あぁぁ〜!会社に電話したよ。お前のボスになぁ〜心臓が悪いのも、ペンキを塗っているのも、遠くから来たのも私には関係ない。私は家賃を払っているんだし、アンタはお金もらって雇われているんだから、あんたの仕事なんだから!
うるさい!だまれ!オヤジ(Old MAN)」
と心の中ではない、ポーランド人スーパー推定55歳に怒鳴った。

そしたら、彼は「心臓悪いのに、遠くから来た」とまた叫んだ。
「それは私とは全く関係ない」と私も叫んだ。アメリカ式の発想だ。
彼が病気なのは私には関係のないことなのは事実だ。
「頼んだ仕事してよ〜!オヤジ」

「昼寝できて人生楽ちんだなぁ」と厭味たらたらで言われた。
月曜日の午後にアパートにいたからだ。そういうのは英語ではっきり言えるようだ。

心臓が悪いのにもかかわらず、50歳を過ぎて祖国を出てアメリカに移民して、つてを頼ってアパートの管理人になった。
それは、私のせいなのか?

桶屋が儲かる方式で考えればそうなのかもしれない。

子供の菊楽恵が文通相手を求めてゴム風船を飛ばした→ポーランドに上陸→当時、共産圏→拾ったのはポーランド人の青年→ポーランド版のKGBに発見→西側に通じている嫌疑をかけられ刑務所→強制労働→25年後に出所→悪夢に悩まされ、アルコールにおぼれ、中毒→高血圧、狭心症になる→風船を見ると膠着して仕事ができない→見かねた親戚がアメリカに移民することを勧める→決意して移民→イースト・ビレッジのアパートの管理人に収まる→日本人の女を見るとなぜだが無性に苛つく

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セントラルパークのモール。

***

なぜ彼は私に怒鳴りつけたのか? なぜ黙って仕事をしなかったのか?

その理由が見えて来て、私はまた怒った。
「人種差別主義者か!女性差別主義者か!お前は〜!日本人だと思って馬鹿にしてるんだなぁ!オヤジ」と私は極端と知りつつも言った。
しかし、私が白人の男性であったならば、彼は怒鳴ることもなく、私がお願いしたい用事を笑顔で済ませてくれたかもしれない。ポーランド人の管理人が私を舐めているのありありだ。

「人種差別主義者の意味も分らんのか、オヤジ。ポーランド語勉強しなくちゃなぁ」と尊大な態度で言う。
「日本語も勉強してよ。あっ、知っている? トヨタ、ソニー、ヤマハ、ホンダ、ニッサン。これ全部、日本語だから。
ポーランドにもあるでしょう?」と更に日本のメーカーの名前で対抗するという作戦に出た。

「ワシはポーランド人じゃない。ウクライナとポーランド人のミックスじゃい」とポーランド人管理人は負けない。
「スパシーバ」とロシア語だけど言ってみた。ウクライナと聞いてとっさに出たのだ。
「ロシア語分るんだなぁ、ハハッハ」とっ金歯を見せて笑った。

落ち着いて話を聞くと、ペンキ塗りを終えて夕方なら訪ねられると言いたかったらしい。
そうと分っていたら、ここまで激しい言い合いをしなくても済んだかもしれない。
お互い外国語でのコミュケーションは大変だ。

ちなみに、用事とは、頸椎から来ている痛みで手が挙がらず、電球が交換できなかったのだ。
一人でする場合は、天井が高いので梯子(約180cmの高さ)を使っていつも電球を代えている。

些細な用事を頼む私も私かもしれないが、そこまでポーランド人の管理人も怒鳴らなくてもいいのにね!

***

ニューヨークの日本人女性が強いと日本男児が敬遠するのは、まさにこういう出来事が日常茶飯事だからだ。
強くなろうと思ったわけでもなく、環境が強気の女にするのだ。

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愛用の梯子。

強くなる女。負けない女。傲慢な女。」への8件のフィードバック

  1. uiさん
    はぁ〜い!囲えるようにですね!
    Naked Maid(裸のメイド)サービス(男女とも)があるので、それを利用させていただこうかな。

    首の調子が良くなってきたので腕も上がるようになりました!
    ご心配ありがとう!

  2. 雇う・・・のではなく、囲わないと♪

    まだ肩はダメですか?
    長いですよね(><)
    心配です。

  3. uiさん
    コミュニケーション不足と100歩譲ったとしても、管理人さんが
    怒鳴る必要はなかったと今でも思っています!

    電球一個も替えれなくなってしまった今、老女になった時、どうしようと不安になりました。
    背の高い電球替え専門の若いお兄さんを雇えるように貯金に励みます(笑)!

  4. お互いに《最初が肝心!》で、警戒してしまったのか・・・とも思ったのですが、やっぱり管理人さんがダメだな・・・と思ってしまいました(^_^;)

    昔から《時間をお金で買ってもらっているのだから、仕事時間中はきちんと仕事をする!》と思っている私。
    なので、やっぱり管理人さんの言い訳は通じないんですよね~。

    色々な意味で防御をしなくてはいけないのが女性の一人暮らし。
    大変だとは思いますが、恵さんパワーで乗りきってくださいねp(^^)q

  5. momoちゃま

    元気でみんなを幸せにすることは良いことざんす!
    ぜひ、不機嫌なニューヨーカーをmomoパワーで明るくしてください。

    一歩ニューヨークを出ると同じチェーンの店員さんが笑顔でしかも明るくて、どう対応していいのか困ってしまったことがあります。

    必要以上に不機嫌~、無駄に不機嫌。
    これもニューヨーク病の一種ですね。

  6. 不機嫌な方が正直なんて、よっぽど毎日楽しくないんだろうこの人は。って私は思っちゃいます。他人に愛想振りまく必要もないけど、無愛想振りまく必要もない。ましてやサービス業。

    会社の電話で、よく取引先のお客さんに「あんた毎日元気よね」と言われます。その彼はとっても暗くて無愛想な人なんですが、私からすれば暗くて無愛想でいる必要は全くないんですよね~。日々楽しくなくなっちゃいそうで。

  7. momoちゃま

    日本の良さが分るのがサービスが良いところと店員さんの笑顔。
    でも、日本のサービス業の笑顔は嘘ぽっい!作り過ぎ!と言う人もいて、
    不機嫌なニューヨーク流が正直でいいぃ〜という人もいます。
    しかし、私は生まれも育ちも日本なので、投げやりな応対には慣れませんね〜!
    同じく、金もらってんだから〜の気持ちは常にあります!

  8. 日本人にとっては当たり前の感覚が外国に行くと違って戸惑ったり憤りを感じることがたまにあります。郷に入れば郷に従いますが。

    NYのとある場所であまりにも横柄な女性が働いてたので、もちろんこちらの主張もしましたが怒りおさまらず、アメリカ人の友達に「何であんたの国の人はお金もらって働いてるにも関わらずあんな態度なんだ!」って聞いたら一言、「生活するのに精一杯だから」と言われました。お金もらって働いてるんだから仕事ちゃんとしてちょうだいって思いますけど。

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