2

想像する映画

dpnycover.jpg

絶賛好評発売中!! Deeeeep!New York! 〜林檎の芯〜
1050円(税込み)
合い言葉はLet’s Try! ニューヨークの明るく楽しい!エッチをあなたも体験してみよう!

世界各国、どこにいてもお求めいただけます!
どんなわくわくの内容なのか? 
下記の全てのサイトで抄録やサンプルがダウンロードできます。

講談社 電子文庫
理想書店
ウェブの書斎
紀伊國屋書店Book Web

*** 
 
 私は毎日、MiLiEUのことを考えている。
 長編の脚本の手直しについても考えているが、先日完成披露試写会を行った短編映画の方である。さまざまな意見をいただいた。それについて考えているのだ。

 映像がきれいだったとか俳優さんがハンサム(坂東 工氏)だったとか、女優さん(ヘレン・キム)が個性的で格好良かったという褒め言葉をいただいたが、ストーリーに関しては、刃物のようにグサグザを胸を抉(えぐ)られるものが大半だった。
私の胸は刺し傷だらけで、流す血もなくなり、血もガビガビに凝結した。

 その後、みなさまからのお言葉を元に、監督トルゴヴィツキー氏と再編集について語ったのだが、お互いドスでの刺し合いだ。もう流す血がなくなったかと思ったら、血はいつの間にか新しいのが作られていて刺される度に噴射した。ドバーッ! シャーッ! 周囲は血の海だった。
 流血戦の結果、再編集はしても少しだけ。音のバランスを整える程度にしようと決まった。
 実は、余り手を加えないと決めたのには大半を占めた意見に支えられてのことなのである。

 ある亜米利加人のカップルが完成披露試写会に来ていた。ストーリーに関して二人の意見が完全に違う。

妻:「あの二人がこうで、あれがあーなの?」
夫:「いやいや、違う、違う。お前は何も観ていないんだなぁ。あれがこーでこーなんだ」
妻:「私はあなたの意見とは違うわ!あれがあーしていたから、こうなのよ」
夫:「違うよ。もう一度言うよ。こーしてしまっているから、あーなんだよ」

……と、帰路の車の中での延々2時間、二人は MiLiEUのストーリーについて喧嘩のごとく言い争いになったらしい。幸いなことに交通事故にはならず、議論が楽しかったと言ってくれた。

 余談だが、夫婦生活も長くなれば会話もエッチも少なくなる。しかし、MiLiEUのストーリーで夫婦生活が円満。落語は円楽、作家は菊楽、映画は娯楽。そう映画は娯楽なのだから、夫婦が楽しんでこそのもの。その役が果たせて嬉しいというものであ〜る。
 
 私の友人二人も捉え方が全く異なっていて、やはり二人でストーリーについて語ったそうだ。
そして、「アレはこーだから、こーなの?」と私に質問してくる人々も面白いように同じポイント(結論と相関関係)なのだが、それぞれ自らのストーリーを創り上げて、それで正しいかどうか脚本を書いた私に聞いてくるのだ。観る人によってストーリーが異なり、各々創作しているという事実を知った。

 テレビのドラマは、誰が観ても分かるように作られていると思う。我々はそれに慣らされてしまっている。
想像力を働かせなくても人物関係が分かってしまう。自分なりの結論を考えたりすることはない。
安心して観る事ができる。分かっているから。
 それが悪いことだとは言っていないが、見る側が全てが明白に分からないと「悪いもの」と思ってしまう傾向にあるのではないだろうか。
 例えば、デヴィット・リンチの『ロスト・ハイウェイ』。結論がどうなったのかわからない。デビット・リンチに聞く訳にもいかない。彼は友だちでも知り合いでもない。自分なりの意見が出て来てくる。きっとアレに違いない。いや違う。友だちと話してみると全く別の考えだったりする。
 
MiLiEUもそんな映画なのだ。哲学的な映画でもないし、難解なアート映画でもない。
拳銃、マシンガンがぶっ放しの〜、白鞘の日本刀が人をぶった切り、刺青にヤクザが登場し、血もドッピャァ〜だ。しかし、結論がすぐ分かるというものではない。格好良く言えば、想像する映画なのである。
 だから、誰でも分かる起承転結のドラマに再編集するのを止めた次第であ〜る。

jean.jpg
想像する映画。MiLiEU