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ルームメイト氏はマドンナも信仰している宗教の勉強会に週一回通っている。
そんなルームメイト氏のことをカケル青年に伝えた。
「何か頼りたいものが必要な人には宗教が一番いいかもしれない」とカケル青年が言ったのだが、
私も同意見である。
ルームメイト氏は妻と離婚して、ひた隠しにしていた己のセクシャリティーが家族にも知れることとなり、
やっと本当の自分で生きられると幸せなはずなのに妻を失った喪失感で苦しみ、かつ恋人にも去られて
自己否定の日々を送り、鬱で苦しんでいた。
ルームメイト氏はマドンナも信仰をしている宗教に出会えて幸せになったと言っている。
デートの相手に振られても気にしなくなり、もっと自分を磨く方向で考えるようになったと言っている。
そのマドンナも信仰している宗教のクラスで友人に自分の良い所と悪い所を聞き、それを表にして改善すべき点を
見つめるという課題が出されたとメールがあり、私に悪い所を書いて欲しいとお願いされた。
それに彼が今、デートしているお医者さんも(「が」ではなく「も」なのである)最近冷たくなり、
いつものパターンかと恐れているという。
知り合った当初は誰もがルームメイト氏を賞賛し好きになるが、しばらくするとなぜか嫌われて振られてしまう。
今回もこのパターンだったら・・・?
自分の悪い所を直せば、きっと彼も元通り、自分を好きになってくれるかもしれないとルームメイト氏は考えている。
ルームメイト氏の悪い所・・・。
それは、まさに今タイラーを頼っているどころか、タイラーの言いなりになっているところだ。
書くべきか、書かざるべきか悩んだ。
ジャスティンの言葉が浮かんだ。
電話で散々に悪口を言った後に「そのこと(タイラーの言いなりになって私は不快だった)をルームメイト氏に言ったのか?」と言われたのだ。
そんな喧嘩を売るようなことは言えない。
でもその代わりにメールでもテキストでも電話でも一言も「タイラーによろしく」を言っていない。
でも、ルームメイト氏から「自分の悪い所を教えて欲しい。直したいから」と言ってきたのを絶好の機会として
私はサンフランシスコで私が感じだことを書いた。
「経済力もあり、社会的にも立派な仕事をしているのに無職の男の言いなりのアナタは
まるで暴力夫の言いなりになってる妻みたいだった」
言い過ぎかと思ったが、しかし、これが正直な私の気持ちだった。
「デートしているお医者さんにもきっとタイラーのことばかり話しているに違いないので、きっとお医者さんも
タイラーがいれば全て済むわけだし、自分はいらないんじゃないかと思っていると思う。
誰もがONLY ONEになりたいわけでONE of THEMにはなりたくない」と書いた。
ルームメイト氏は家のことをアレコレしてくれるタイラーを賞賛しているし、タイラーに恋人や夫ができて
ルームメイト氏の家を出て行くことになったらどうしようとまで心配している。
デートの相手が他の男性のことばかり話して、褒め讃えていたら、自分のこと好きじゃないんじゃなかと思って
好きな気持ちもしぼんでしまう。
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ルームメイト氏に送った後に酷く後悔した。
真実は時には人を傷つけるし、それで私は何人ものの友達を失っている。
思っていることを正直に伝える作業は実に辛いものだ。
これでルームメイト氏との関係も切れたかもしれないと落ち込み、
メールもテキストも確認するのが
怖かった。
恐る恐るメールをチェックしてみるとルームメイト氏から返事があって、こう書かれていた。
「タイラーは家のことをしてくれるから、そのお礼の気持ちで彼がしたいことをできるだけしてあげようと思っているから。お医者さんにはタイラーのことばっかりしゃべっていたから、メグミの言う通りかもしれない」
お礼とはいえ、タイラーのことは納得いかない・・・。
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ルームメイト氏は完成した課題である表を私に送ってきた。
悪い点は誰が何を言っているというのも書かれていたが、知らない人だが私と同じように思っている人がいて、
やっぱりコレはルームメイト氏の改善点なのだと思った。
「感情的に他人の言いなりになるようなところがあり、利用されてしまう・・・」
別の見方をすればやさしい、良い人なのだ。
私は個人的にタイラーが嫌いなわけではない。
ただルームメイト氏にサンフランシスコではタイラーではなく私の意見を一番に聞いて欲しかった。
嫉妬なのは分かっている。
二番手に回されてしまったのが悲しかったのだ。
それを認めるのも辛かったのだ。
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その日の夜、ルームメイト氏からケータイに写真が送られて来た。
「前から話していたと思うけど、夢を実現させるためのボードを作りました。
ほとんどがアナタからの影響です」
ジーン。
涙が出た。
ニューヨークのポストカードも私が最近送ったものだし(メールやテキストのデジタルでは味気ないから
時々ポストカードや手紙を送っている)、真ん中の写真はニューヨークタイムズに出ていた写真でカリフォルニア州で
同性婚が合法化された時に送ったものだ。その時はルームメイト氏のことが男性として大好きで、
でも素敵な男性と巡り会って欲しいような、でも絶対巡り会って欲しくない複雑な気持ちで
送った記憶がある。

夢実現ボード
「赤ちゃんの写真もありますが、ぜひアナタが赤ちゃんと一緒に撮った写真を送ってください」
という文で締めくくられていた。
遠くにいるけど、毎日連絡し合っているし、お互い影響され合っている。
タイラーの影はドリーム・ボードには微塵(みじん)もなく、単に家の修理と犬の面倒をみてくれているから
感謝しているだけで他の感情は全くないと、かなり非情にも聞こえることをルームメイト氏は言っていたが、
それは本当なのかもしれないと思った。
さもしい根性だが、勝ち誇った気分になった・・・!
赤ちゃん・・・かぁ。
マドンナも離婚することだし、究極、男は精子提供者以上でも以下でもない。
男は精子提供者である。
愛して愛されることを期待し、かつ別れるがやってくるストレート男性よりは、
「友情以上愛情未満」のゲイ、ルームメイト氏との方が幸せかもしれないと今日は思うが、
少し怖い気もしている。
悪い点を知り、改善しようと努力し、夢の実現のためにドリーム・ボードを作る。
一見すると努力家で良さそうだが、ルームメイト氏は自然じゃない。
何か(愛?)を掴もうと必死の形相が見えるからだ。